"中東情勢の急激な悪化を受け、VN-Indexは3月初旬に80ポイント以上急落したが、石油・ガス株と外国人投資家の買いを支えに反発。市場の地政学リスクへの感応度が高まっている。"
中東情勢悪化でVN-Indexが急落後に反発—石油・ガス株と外国人買いが支える
2026年3月に入り、ベトナムの株式市場は中東情勢の急激な悪化を受けて激しい変動に見舞われている。3月2日から3日にかけてVN-Indexは80ポイント以上の急落を記録したが、3月4日には石油・ガス株と外国人投資家の買いを支えに反発し、1,818.27ポイントで引けた。この乱高下は、ベトナム市場のグローバルな地政学リスクへの感応度が高まっていることを示している。
3月の相場動向:急落と反発の構図
3月の相場は波乱の幕開けとなった。月初の2セッションで合計80ポイント以上の急落を記録し、VN-Indexは一時1,800ポイントの節目を割り込む場面もあった。この急落の背景には、中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の急騰と、それによる世界的なリスクオフムードの高まりがある。
タイのSETインデックスが約8%下落してサーキットブレーカーを発動し、韓国のKOSPIが一時12%急落するなど、アジア市場全体が動揺する中、ベトナム市場も当初は売り圧力にさらされた。しかし、取引終了間際に石油・ガス株を中心とした大口買いが入り、VN-Indexは急反発した。
石油・ガス株の急騰と市場への影響
中東情勢の悪化により、WTI原油価格は直近の取引日から20%以上急騰し、3月4日には1バレル76.7ドル前後まで上昇した。この原油高は、ベトナムの石油・ガス関連株に直接的な恩恵をもたらした。
ペトロリメックス(PLX)やペトロベトナム・ガス(GAS)などの主要石油・ガス株がストップ高を記録し、市場全体の下支えとなった。一方で、原油高は輸送コストの上昇を通じて製造業や輸出企業のコスト増加要因となるため、セクター間での明暗が分かれる展開となっている。
外国人投資家の動向と市場の構造的変化
3月4日の取引では、外国人投資家が引き続き純買い越しとなり、これが相場の反発を後押しした。ベトナム証券市場では、口座数が1,200万口座を突破するなど個人投資家の裾野が広がる一方、外国機関投資家の参入に向けた制度整備も進んでいる。
FTSEラッセルによる新興国市場格上げ審査が進む中、外国人投資家のベトナム株式市場への関心は高まっており、短期的な地政学リスクによる売りに対して、中長期的な視点からの買いが入る構図が定着しつつある。
今後の相場見通し
市場専門家は、中東情勢が落ち着くまでは相場の変動が続くと見ており、VN-Indexが1,830ポイント前後のサポートラインに向けて調整する可能性を指摘している。しかし、ベトナムの強固な経済ファンダメンタルズ(2025年のGDP成長率8.02%、2026年の10%目標)と企業業績の改善が、中長期的な上昇トレンドを支えるとの見方が多い。
投資家にとっては、地政学リスクによる一時的な調整局面が、ベトナムの長期成長に乗るための買い場となる可能性がある。特に、原油高の恩恵を受ける石油・ガスセクターと、金利上昇局面でも底堅い銀行セクターへの注目が高まっている。


