"2026年3月10日、ベトナム政府は、国内の不動産管理における透明性と効率性を抜本的に改革するため、新たな電子識別コード制度を2026年3月1日より施行したことを発表した。2025年12月31日に発行された政令357号(Decree No. 357/2025/ND-CP)に基づくこの新制度は、国内の全ての住宅および不動産プロジェクトに対して、一意の電子識別コードを割り当てることを義務付けるものであ..."
ベトナム不動産市場に新時代到来―電子識別コード制度が3月1日より施行
2026年3月10日、ベトナム政府は、国内の不動産管理における透明性と効率性を抜本的に改革するため、新たな電子識別コード制度を2026年3月1日より施行したことを発表した。2025年12月31日に発行された政令357号(Decree No. 357/2025/ND-CP)に基づくこの新制度は、国内の全ての住宅および不動産プロジェクトに対して、一意の電子識別コードを割り当てることを義務付けるものである。
新制度の概要と目的
この新制度の中核となるのは、最大40文字の英数字で構成される「電子識別コード」である。このコードは、国の住宅・不動産情報システムおよびデータベースの下で管理される各住宅ユニットや不動産物件に個別に割り当てられる。これにより、これまで複雑で不透明さが指摘されてきた不動産の所有権や取引履歴の管理が、デジタル上で一元的に追跡可能となる。
政府がこの制度を導入した主な目的は、以下の通りである。
- 透明性の向上: 不動産取引における情報の非対称性を解消し、不正や投機的な取引を抑制する。
- 管理の効率化: 行政機関による不動産情報の監視・管理を効率化し、迅速なデータ分析や政策立案を可能にする。
- デジタルガバナンスの強化: 不動産分野におけるデジタル化を推進し、国全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)に貢献する。
各省および市の建設局が、管轄内の住宅開発プロジェクトへのコード割り当てを担当する。今後、新規開発プロジェクトにおいては、当局が販売条件を満たしていることを確認する通知を発行する際に、この電子識別コードが同時に添付されることになる。
不動産市場への影響
この電子識別コード制度の導入は、ベトナムの不動産市場に多岐にわたる影響を与えると専門家は分析している。
投資家・購入者にとってのメリット:
不動産の所有権や過去の取引履歴、法的な状態などを正確かつ容易に確認できるようになるため、投資家や住宅購入者は、より安心して取引に臨むことができる。これにより、詐欺的な案件や二重売買といったリスクが大幅に低減されることが期待される。
デベロッパーにとっての意義:
短期的には、新たなコンプライアンス対応が求められるものの、長期的には、プロジェクトの透明性が高まることで、金融機関からの融資や海外からの投資を呼び込みやすくなる可能性がある。また、健全な市場環境が整備されることで、優良なデベロッパーが正当に評価される土壌が育まれる。
行政機関の役割:
国の不動産データベースは、他の政府情報システムと連携し、開かれた形で運用されることが計画されている。これにより、税務当局は不動産取引に関連する納税状況を正確に把握でき、都市計画当局は、よりデータに基づいたインフラ整備や開発計画を策定することが可能になる。
今後の課題と展望
新制度の成功は、関連するデータベースの構築と、各行政機関間のスムーズな連携にかかっている。膨大な数の既存物件へのコード割り当て作業や、システムの安定運用、そして個人情報保護とデータセキュリティの確保が、今後の重要な課題となるだろう。
ベトナム政府は近年、行政手続きのデジタル化と規制緩和を積極的に進めており、今回の不動産電子識別コード制度もその一環と位置づけられる。同時に施行された外国駐在員事務所の設立認可期間の短縮(30営業日から14営業日へ)と合わせ、より近代的で開かれた投資環境を整備しようとする政府の強い意志がうかがえる。
この改革がベトナム不動産市場の長年の課題であった不透明性を解消し、持続可能で健全な成長を促進する礎となるか、今後の動向が注目される。
出典:
- Vietnam Briefing: New Regulations Effective March 2026 in Vietnam 1



