ベトナム、国際カーボンクレジット取引への扉を開く「Decree 112」施行へ
Quay Lại Danh Sách
市場分析 2026年4月4日 3分で読めます

ベトナム、国際カーボンクレジット取引への扉を開く「Decree 112」施行へ

"ベトナムでカーボンクレジット取引を促進する「Decree 112」が施行。企業の脱炭素化と新たな収益源創出が期待されます。"

Decree 112の概要と意義

ベトナム政府は、パリ協定に基づく国際的な温室効果ガス排出削減結果およびカーボンクレジットの交換に関する新政令「Decree No. 112/2026/ND-CP」を公布しました。本政令は2026年5月19日に施行されます。この政令により、ベトナムは国際カーボンクレジット市場への本格的な参入を果たし、グリーンファイナンスの新たな収益源を確保する道が開かれます。ベトナムは2050年までにカーボンニュートラルを達成するという目標を掲げており、本政令はその実現に向けた重要な法的基盤となります。

優先プロジェクトと一般プロジェクトの区分

Decree 112では、プロジェクトを「優先」と「一般」の2カテゴリに分類し、それぞれ異なるクレジット移転比率を設定しています。優先プロジェクトには地熱発電、洋上風力発電、グリーン水素製造、CCUS(炭素回収・利用・貯留)などが含まれ、生成されたカーボンクレジットの最大90%を国際移転することが可能です。一般プロジェクトにはバイオマス発電、沿岸風力発電、セメント添加物の活用などが含まれ、最大50%の国際移転が認められています。

カーボンクレジット移転比率
出典:Decree 112/2026/ND-CP、Vietnam Insight作成

公共投資プロジェクトへの適用

本政令の重要な特徴の一つは、公共投資プロジェクトから生じるカーボンクレジットの販売メカニズムを正式に確立した点です。PPP(官民連携)プロジェクトの場合、カーボンクレジットの販売収益はプロジェクト収入として管理されます。これにより、インフラ投資の新たな収益モデルが構築されることになります。公共交通機関のEV化や再生可能エネルギー発電所の建設など、大規模プロジェクトでのカーボンクレジット活用が期待されています。

手続きと監督体制

カーボンクレジットの国際移転を行う場合、農業環境省および公安省への事前協議が義務付けられており、各省は15営業日以内に回答する必要があります。対応調整なし(corresponding adjustment)の移転については、最大90%のクレジット移転が認められていますが、ベトナムのNDC(国が決定する貢献)への影響を考慮した管理が求められます。透明性の確保と国際基準への準拠が重視されており、MRV(測定・報告・検証)体制の整備も進められています。

日系企業への影響と機会

日系企業にとって、Decree 112は大きなビジネスチャンスを提供します。特に、再生可能エネルギー分野やCCUS技術を持つ企業は、ベトナムでのプロジェクト開発を通じてカーボンクレジットを取得し、国際市場で取引することが可能になります。JCM(二国間クレジット制度)との連携も期待されており、日越間のグリーン投資がさらに活発化する見通しです。ベトナムのカーボンクレジット市場は、2030年までに年間数十億ドル規模に成長すると予測されています。

国内カーボン市場との連携

Decree 112は国際取引に焦点を当てていますが、ベトナム政府は2028年までに国内カーボン取引市場の本格稼働も計画しています。国内市場と国際市場の連携により、企業はより柔軟にカーボンクレジットを取引できるようになります。現在、パイロットプログラムとして鉄鋼、セメント、火力発電の3セクターでMRV(測定・報告・検証)体制の構築が進められており、これらのセクターから段階的に排出量取引が導入される見通しです。

出典: Vietnam Insight

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