ベトナム、商取引の電子化を推進し隠れGDPを見える化
Quay Lại Danh Sách
ニュース 2026年2月22日 3分で読めます

ベトナム、商取引の電子化を推進し隠れGDPを見える化

"ベトナム政府は、商取引の電子化を推進し、「隠れGDP」を見える化する取り組みを進めている。電子決済の普及により、経済の透明性が高まることが期待されている。"

ベトナム、商取引の電子化を推進し隠れGDPを「見える化」

ベトナム共産党は、2045年までの高所得の先進国入りを目指し、現金での商取引を規制して電子化を進めている。

この改革は、税逃れで過少申告されてきた売り上げや所得を捕捉し、「隠れGDP」を見える化することを目的としている。

税収の現状と課題

ベトナムの税収は、経済規模に比べて著しく低い水準にある。

経済協力開発機構(OECD)は2025年6月、ベトナムのGDP比の個人所得税(2022年)が**1.7%**と公表した。

これは、OECD平均の**8.2%**を大きく下回る。

さらに、OECDは「2019年に所得税を納めたのは労働人口の3%未満」とも指摘している。

税逃れの実態

中小の事業者は、仕入れや設備費の現金取引で二重帳簿を作成し、売り上げや所得税を過少申告することが常態化している。

専門家は「税務調査はざるだ。隠れ所得、資産が桁外れに多く、実際は金持ちの個人事業主はたくさんいる」と指摘する。

電子化推進の具体策

ベトナム政府は、こうした税逃れを防ぐため、商取引の電子化を加速させている。

電子インボイスの義務化

2025年6月、年商**10億ドン(約600万円)**以上の事業者に対し、税務当局とデータ連携が可能な「販売時点情報管理(POS)」による電子インボイスを義務化した。

これにより、税務当局は売上データをリアルタイムで把握できるようになる。

現金決済の上限引き下げ

2025年7月には、現金決済の上限を2千万ドンから500万ドンまで引き下げ、キャッシュレス化を推進した。

この措置により、高額取引は銀行振込やクレジットカード、電子決済を利用する必要がある。

税務当局は、オンライン上で請求額などを追える仕組みを整えつつある。

行政手続きの完全デジタル化

政府は、行政手続きの完全デジタル化も進めている。

南部ホーチミンで企業法務に携わる工藤拓人弁護士は、デジタルでの行政手続きや事業申請は「日本より進んでいる分野だ」と評価する。

経済的インパクト

GNIの倍増可能性

近年の経済成長率を維持した上で、隠れたGDPを可視化できれば、大きな経済効果が期待できる。

専門家は「数年で所得税収の倍増はあり得る」と指摘する。

2024年に1人当たり4490ドルだった国民総所得(GNI)は、2030年に倍近くになり得ると分析されている。

高所得国への道

世界銀行が高所得国の指標とするGNI約1万3900ドルの達成と先進国入りを、ベトナムは2045年までに目指している。

隠れGDPの見える化は、この目標達成に向けた重要な一歩となる。

トー・ラム書記長の改革

最高指導者トー・ラム共産党書記長は、2024年の就任以来、大胆な改革を進めてきた。

行政の近代化

地方省の半減や中央省庁の再編により、行政の効率化を図っている。

これにより、行政コストの削減と意思決定の迅速化が期待されている。

大型インフラ投資

南北高速鉄道や原子力発電所建設などの大型インフラ投資も検討されている。

これらのプロジェクトは、経済成長を加速させる重要な要素となる。

在ハノイの外交筋は「ラム氏は真剣だ。ホー・チ・ミンに続く第2の建国の父を目指している」と評する。

1月の党大会での位置づけ

2026年1月の党大会では、デジタル化推進が主要議題の一つとして取り上げられた。

党は、デジタル化を経済発展の柱として位置づけ、全国的な取り組みを加速させる方針を示した。

課題と今後の展望

商取引の電子化は、大きな経済効果をもたらす可能性がある一方で、いくつかの課題も存在する。

中小企業への負担

電子インボイスシステムの導入には、初期投資が必要となる。

中小企業にとっては、この負担が経営を圧迫する可能性がある。

政府は、補助金や税制優遇措置により、中小企業を支援する必要がある。

デジタルリテラシーの向上

電子決済や電子インボイスを活用するためには、事業者や消費者のデジタルリテラシーを向上させる必要がある。

特に、地方や高齢者層への教育が重要となる。

プライバシーとセキュリティ

取引データの電子化は、プライバシーやセキュリティのリスクを伴う。

政府は、データ保護の法整備やサイバーセキュリティの強化を進める必要がある。

ベトナムの商取引電子化は、税収の増加と経済の透明性向上をもたらす重要な改革だ。

隠れGDPの見える化により、ベトナムは2045年までの先進国入りという野心的な目標に近づくことができる。

トー・ラム書記長のリーダーシップの下、この改革が成功すれば、ベトナム経済は新たな段階に入るだろう。

画像: ベトナムのキャッシュレス決済の普及状況(出典: Vietnam News)

出典: Nikkei Asia

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