"ホーチミン市とハノイのオフィス賃料に大きな差が生じています。グレードAオフィスの賃料は、ホーチミン市が1平方メートルあたり56.1ドル、ハノイが33.0ドルと、23.1ドルの差があります。"
ホーチミン市とハノイのオフィス賃料、グレードAで23.1ドル差──Knight Frank調査
「質への移行」トレンドが鮮明に、グリーンビルが競争優位性に
不動産コンサルティング会社Knight Frankが発表した2025年第4四半期の市場レポートによると、ホーチミン市とハノイのオフィス市場は賃料面で大きく差別化されていることが明らかになった。
グレードAオフィスの賃料は、ホーチミン市が58.9ドル/㎡/月、ハノイが35.8ドル/㎡/月と、23.1ドルの差が生じている。
グレードAで64%、グレードBで69%の賃料差
Knight Frankの調査によると、2025年第4四半期のグレードAオフィスの平均賃料は、ホーチミン市が58.9ドル/㎡/月、ハノイが35.8ドル/㎡/月だった。
これは、ホーチミン市の賃料がハノイより64%高いことを意味する。
グレードBオフィスでも同様の傾向が見られ、ホーチミン市が33.2ドル/㎡/月、ハノイが19.7ドル/㎡/月と、13.5ドルの差がある。
こちらは69%の差となり、グレードBの方が相対的な差が大きい。
この賃料差は、両都市の経済規模、外国投資の集中度、オフィス需要の違いを反映している。
ホーチミン市はベトナム最大の経済都市であり、外資系企業の本社や地域統括拠点が集中しているため、オフィス需要が高い。
ホーチミン市は入居率維持を優先、ハノイは新規供給で賃料上昇
両都市のオフィス市場は、異なる戦略を取っている。
ホーチミン市では、オーナーが入居率維持を優先し、柔軟な価格設定や優遇措置を提供している。
需要は回復傾向にあるものの、まだ力強い伸びには至っていないため、空室リスクを避ける戦略が取られている。
一方、ハノイでは、新しい高品質オフィスビルの供給が賃料を押し上げている。
短期的には空室率が上昇する可能性があるものの、長期的には多国籍企業の需要に対応し、ハノイの競争力を高めるために必要な供給と見られている。
市場規模はハノイが上回るも、グリーン認証率はホーチミンが優位
総供給量では、ハノイが約210万㎡、ホーチミン市が約180万㎡と、ハノイの方が大きい。
しかし、グリーン認証を取得したオフィスビルの割合は、ホーチミン市が40%以上と、ハノイを大きく上回っている。
グリーンビルディング認証は、環境への配慮だけでなく、エネルギー効率の向上やテナントの健康・快適性の向上にもつながる。
多国籍企業は、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点から、グリーン認証を取得した建物を優先する傾向が強まっており、これが競争優位性となっている。
2025年の純吸収量と主要テナント
2025年の純吸収量は、ホーチミン市が52,800㎡、ハノイが44,300㎡だった。
ホーチミン市の吸収量は2024年の約半分に減少したが、これは市場が調整期に入ったことを示している。
主要なテナントは、物流企業、IT企業、外資系テクノロジー企業が中心だ。
これらの企業は、高品質なオフィススペース、最新の設備、柔軟なレイアウトを求めており、「flight to quality」(質への移行)トレンドを牽引している。
2026年の新規供給予測:ハノイが大幅増加
2026年には、ホーチミン市で約32,000㎡、ハノイで約91,600㎡の新規供給が予定されている。
ハノイの新規供給は、主に西湖西部地区に集中しており、この地区がハノイの新しいビジネスセンターとして台頭しつつある。
Knight Frankベトナムの市場調査部副部長Son Hoang氏は「市場は縮小ではなく再バランスの段階にある。ホーチミン市では、オーナーが柔軟な賃貸戦略を採用し、IT、テクノロジー、物流企業からの堅調な需要に対応している。ハノイでは、高品質な供給の増加が市場の長期的な転換を促進している。グリーンオフィスが新しい標準となり、西湖西部が新世代のビジネスセンターとして位置づけられている」と述べた。
今後の展望:質、持続可能性、適応能力が競争の決定要因に
ベトナムのオフィス市場は、より選別的な発展段階に入っている。
賃料だけでなく、建物の質、持続可能性、企業の新しいニーズへの適応能力が、競争の決定要因となる。
ホーチミン市とハノイの賃料差は、今後も一定程度維持される見込みだが、両都市ともに「質への移行」トレンドが強まることで、市場全体の質的向上が期待される。
開発業者は、テナントの多様なニーズに対応し、競争力のある物件を提供することが求められる。
キーワード: オフィス賃料、ホーチミン市、ハノイ、Knight Frank、グリーンビル、flight to quality



