"ベトナムの不動産市場は2026年に新たな局面を迎えようとしている。ベトナム不動産協会(VARS)のNguyen Van Dinh副会長によれば、2026年の住宅供給は20万〜30万戸に達し、2025年の2〜3倍に増加する見込みだ。この供給増加により、価格の急騰は抑えられ、市場は短期的な投機ではなく、実際の価値に基づく発展段階に移行すると予想されている。 この市場転換の中で、特に注目を集めているの..."
ベトナムの不動産市場は2026年に新たな局面を迎えようとしている。ベトナム不動産協会(VARS)のNguyen Van Dinh副会長によれば、2026年の住宅供給は20万〜30万戸に達し、2025年の2〜3倍に増加する見込みだ。この供給増加により、価格の急騰は抑えられ、市場は短期的な投機ではなく、実際の価値に基づく発展段階に移行すると予想されている。
この市場転換の中で、特に注目を集めているのがヘルスケア不動産と高齢者向け住宅である。ベトナムではまだ比較的新しい分野であるものの、急速に関心が高まっており、すぐに新たな市場トレンドになると予想されている。この背景には、ベトナムの人口構造の急速な変化がある。国家統計局および国連人口基金(UNFPA)の最新報告によれば、ベトナムは2034年に高齢化社会(65歳以上人口が総人口の14%以上)へ移行する見通しだ。
ベトナムは今後数年以内に「人口ボーナス期」を終え、急速に高齢化社会へ移行する。この変化は、従来の家族ベースのケアモデルから、専門的で持続可能なケアエコシステムへの移行を必要としている。2026年1月に開催されたベトナムケアエコノミーフォーラムでは、強力なビジネス部門の参加による専門的なケアサービスの重要性が強調された。
高齢者向け住宅の需要は、単なる人口動態の変化だけでなく、社会経済的な要因によっても推進されている。都市化の進展により、若年層が都市部へ移住し、高齢者が地方に残されるケースが増加している。また、核家族化の進行により、伝統的な三世代同居の形態が減少し、高齢者のための専門的な住宅やケア施設の需要が高まっている。さらに、中間層の拡大により、質の高いケアサービスに対する支払い能力を持つ層が増加している。
ヘルスケア不動産の分野では、病院、クリニック、リハビリテーション施設、そして高齢者向け住宅が含まれる。これらの施設は、単なる医療サービスの提供にとどまらず、快適な生活環境、社会的交流の場、そしてレクリエーション施設を統合した複合施設として開発されている。特に、ホーチミン市やハノイといった大都市圏では、高級高齢者向け住宅の開発が進んでいる。
不動産開発業者にとって、ヘルスケア不動産は新たな投資機会を提供している。従来の住宅やオフィスビルと比較して、ヘルスケア不動産は安定した長期的な収益を生み出す可能性がある。また、政府もこの分野への投資を奨励しており、規制緩和や税制優遇措置が検討されている。
2026年の不動産市場全体の展望について、CBREは商業用不動産の反発を予測している。GDP成長率の加速、賃貸活動の増加、そして投資額の16%増加が見込まれている。特に、オフィス、物流施設、そしてヘルスケア不動産が成長セクターとして挙げられている。
新しい法的枠組みも市場を後押ししている。2026年に導入される新たな規制により、土地収用・補償に関する手続きが簡素化され、停滞していたプロジェクトの80%が再開可能になると予想されている。これにより、「すぐに着工可能」な開発案件が増加し、供給の大幅な増加につながる見通しだ。
しかし、課題も存在する。ヘルスケア不動産の開発には、専門的な知識、医療機関との連携、そして適切な運営ノウハウが必要である。また、高齢者向け住宅の需要は確実に存在するものの、価格設定や立地選定において慎重な検討が求められる。さらに、規制環境の整備や、医療・介護人材の確保といった課題も解決する必要がある。
今後、ベトナムの不動産市場は、従来の住宅・オフィス中心から、より多様化した市場へと進化していくと予想される。ヘルスケア・高齢者向け住宅は、その中核を担う新たな成長エンジンとなる可能性を秘めている。2026年は、この新しい市場セグメントが本格的に立ち上がる転換点となるかもしれない。



