"ハノイの歴史と文化が息づくレジェンドカフェ3軒を紹介。エッグコーヒー(Cà Phê Trứng)発祥の地として世界的に有名な「Giang Cafe」、旧市街の路地裏に佇む隠れ家的な「Cafe Dinh」、そして1950年代創業でベトナム芸術家たちに愛され続ける「Cafe Lam」。それぞれがハノイの歴史の一部であり、コーヒー一杯に込められた物語を体験できる特別な空間だ。"
ハノイのカフェ文化を巡る:伝説のエッグコーヒー「Giang Cafe」、隠れ家「Cafe Dinh」、芸術家が集った「Cafe Lam」
ハノイの魅力は、歴史的な街並みや美味しいストリートフードだけではありません。この街には、フランス統治時代から続く、深く豊かなカフェ文化が根付いています。今回は、ハノイを訪れたら必ず立ち寄りたい、それぞれが物語を持つ3つの伝説的なカフェをご紹介します。
1. Giang Cafe (ザン・カフェ)
- エリア: ホアンキエム区
- 特徴: エッグコーヒー発祥の店
- Web: http://www.giangcafehanoi.com/
ハノイのカフェ文化を語る上で、「Giang Cafe」と、その看板メニューである「エッグコーヒー(Cà Phê Trứng)」は絶対に外せません。1946年、当時5つ星ホテル「ソフィテル・レジェンド・メトロポール・ハノイ」のバーテンダーだったグエン・ヴァン・ザン氏が、牛乳が不足していた時代にその代用品として卵の黄身を使ったことから、この独創的な飲み物は生まれました。
細い路地の奥にひっそりと佇むこのカフェで提供されるエッグコーヒーは、濃厚なベトナムコーヒーの上に、カスタードクリームのように滑らかで甘い卵の泡がたっぷりと乗っています。その味わいは、まるで「飲むティラミス」。コーヒーの苦味と卵クリームの甘さが見事に調和し、一度飲んだら忘れられない感動を与えてくれます。
創業から80年近く経った今も、創業者の息子たちがその秘伝のレシピを守り続けています。ハノイの歴史そのものを味わうような、特別な一杯を体験しに訪れてみてください。
2. Cafe Dinh (ディン・カフェ)
- エリア: ホアンキエム区
- 特徴: Giang Cafe創業者の娘が営む隠れ家的カフェ、ホアンキエム湖の眺め
- Web: なし(ローカル店)
「Cafe Dinh」は、Giang Cafeの創業者ザン氏の次女であるビック氏が営むカフェで、エッグコーヒーのもう一つの聖地として知られています。ホアンキエム湖を見下ろす古い建物の2階にあり、看板も小さく、まるで秘密の隠れ家のような雰囲気です。
ここのエッグコーヒーは、Giang Cafeのものよりも少しビターで、コーヒーの風味がより強く感じられるのが特徴。甘さ控えめで、大人の味わいを好む方におすすめです。カップの底に沈んだ濃厚なコーヒーを、スプーンで卵クリームと混ぜながら飲むのが常連客のスタイル。
錆びついたバルコニーの席からは、ホアンキエム湖の美しい景色を眺めることができます。地元の若者やアーティストたちに愛されるこの場所で、ハノイの日常に溶け込むような、ゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
3. Cafe Lam (ラム・カフェ)
- エリア: ホアンキエム区
- 特徴: 1952年創業の老舗、芸術家たちのコミュニティ
- Web: なし(ローカル店)
「Cafe Lam」は、1952年にグエン・ヴァン・ラム氏によって創業された、ハノイで最も古いカフェの一つです。このカフェが特別なのは、その歴史がベトナムの近代美術史と深く結びついているからです。
創業当時、お金のなかった多くの芸術家たちが、コーヒー代の代わりに自身の作品をラム氏に託しました。その中には、後にベトナムを代表する画家となるブイ・スアン・ファイやグエン・サンなども含まれていました。現在も、店内の壁には、当時の貴重な絵画が無造作に飾られており、さながら小さな美術館のようです。
ここで提供されるコーヒーは、昔ながらのシンプルなベトナム式ブラックコーヒー。濃厚で力強い味わいが特徴です。プラスチックの低い椅子に腰掛け、芸術家たちの息吹が残る空間でコーヒーを啜れば、まるで1950年代のハノイにタイムスリップしたかのような感覚を味わえるでしょう。
これら3つのカフェは、単にコーヒーを飲む場所ではなく、ハノイの歴史、文化、そして人々の暮らしが凝縮された空間です。それぞれの物語に思いを馳せながら、ハノイならではのカフェ巡りを楽しんでみてください。



