住宅価格の高騰と供給不足に直面するベトナム、政府は社会住宅100万戸建設を目標に
Quay Lại Danh Sách
ニュース 2026年2月2日 3分で読めます

住宅価格の高騰と供給不足に直面するベトナム、政府は社会住宅100万戸建設を目標に

"ベトナムの不動産市場は、住宅価格の急騰と深刻な供給不足という二重の課題に直面している。三井物産戦略研究所の最新レポートによると、コロナ禍以降の許認可遅延、低金利環境、インフレヘッジ需要などが重なり、住宅価格が急激に上昇している。政府は2030年までに100万戸の社会住宅を建設する目標を掲げ、住宅政策の転換を図っている。"

住宅価格の高騰と供給不足に直面するベトナム、政府は社会住宅100万戸建設を目標に

ベトナムの不動産市場は、住宅価格の急騰と深刻な供給不足という二重の課題に直面している。三井物産戦略研究所の最新レポートによると、コロナ禍以降の許認可遅延、低金利環境、インフレヘッジ需要などが重なり、住宅価格が急激に上昇している。政府は2030年までに100万戸の社会住宅を建設する目標を掲げ、住宅政策の転換を図っている。

土地の国家所有を前提とした不動産市場

ベトナムの不動産市場は、土地の国家所有を前提として発展してきた独特の構造を持つ。個人や企業は土地の使用権を取得できるが、所有権そのものは国家に帰属する。この制度は、市場の透明性や流動性に影響を与えており、外国投資家にとっては理解が必要な重要な要素である。

2007年の第10回国土法改正により、不動産分野への外資導入が本格化した。この改正により、外国人や外国企業による不動産使用権の取得が可能となり、ベトナムの不動産市場は新たな成長段階に入った。以降、外国資本の流入が加速し、特にホーチミン市やハノイなどの主要都市では、高層マンションやオフィスビルの開発が活発化した。

コロナ禍以降の価格急騰

コロナ禍以降、ベトナムの住宅価格は急激に上昇している。その背景には、複数の要因が絡み合っている。まず、許認可プロセスの遅延により、新規供給が大幅に減少した。開発プロジェクトの承認に時間がかかり、市場に投入される住宅の数が需要に追いつかない状況が続いている。

さらに、低金利環境がインフレヘッジとしての不動産需要を喚起した。金融緩和政策により、住宅ローン金利が低水準に抑えられたことで、投資目的での不動産購入が増加した。加えて、インフレ懸念から資産保全の手段として不動産を選択する投資家が増え、価格上昇に拍車がかかった。

2024年の市場低迷と供給激減

2024年には、許認可遅延に加えて、金融機関の審査厳格化により、不動産市場が低迷し、供給がさらに激減した。金融機関は、不動産セクターへの融資に対してより慎重な姿勢を取るようになり、開発業者の資金調達が困難になった。この結果、多くのプロジェクトが遅延または中止され、市場への新規供給が大幅に減少した。

一方で、需要は依然として高い水準を維持しており、供給不足が価格上昇を加速させる悪循環が生じている。特に、都市部の中間所得層にとって、手頃な価格の住宅を見つけることが困難になっている。

政府の住宅政策転換

この状況を受けて、ベトナム政府は住宅政策の転換を図っている。2024年9月に改正住宅法が成立し、2025年8月に施行された。この改正法は、許認可プロセスの簡素化、社会住宅の供給促進、外国人による不動産取得の条件緩和などを含んでおり、市場の活性化と供給増加を目指している。

特に注目されるのは、2030年までに100万戸の社会住宅を建設するという野心的な目標である。社会住宅とは、低所得層や中間所得層向けの手頃な価格の住宅を指し、政府の支援により開発される。この取り組みは、住宅価格の高騰により住宅購入が困難になっている層に対する支援策として位置づけられている。

許認可手続きの遅延リスク

政府の政策転換にもかかわらず、不動産価格における許認可手続きの遅延リスクは依然として残っている。ベトナムの行政手続きは複雑で、複数の政府機関の承認が必要なため、プロジェクトの開始までに長い時間がかかることが多い。この遅延は、開発コストの増加につながり、最終的には住宅価格に転嫁される。

また、地方政府と中央政府の間での調整や、土地使用権の移転手続きなども、プロセスを複雑化させる要因となっている。これらの課題を解決するためには、行政の効率化とデジタル化が不可欠である。

都市人口の増加と住宅需要

ベトナムは急速な都市化が進んでおり、都市人口の増加が住宅需要を押し上げている。特に、ハノイとホーチミン市への人口集中が顕著であり、これらの都市では住宅不足が深刻化している。若年層の増加と中間所得層の拡大により、住宅需要は今後も高い水準で推移すると予想される。

三井物産戦略研究所のレポートは、住宅政策の転換により、都市人口の増加を背景とした住宅需要を満たすことが期待されると指摘している。しかし、供給の増加が需要の伸びに追いつくまでには時間がかかる可能性があり、短期的には価格の高止まりが続くと見られる。

今後の展望

ベトナムの不動産市場は、政府の政策転換により、徐々に改善の兆しを見せると期待される。社会住宅の供給増加、許認可プロセスの簡素化、金融機関の融資姿勢の正常化などが進めば、市場のバランスが回復する可能性がある。

しかし、短期的には住宅価格の高騰と供給不足という課題が続くと予想される。投資家や開発業者は、政府の政策動向を注視しながら、慎重に市場を見極める必要がある。長期的には、ベトナムの経済成長と都市化の進展により、不動産市場は引き続き拡大すると見込まれるが、持続可能な成長を実現するためには、供給の安定化と市場の透明性向上が不可欠である。

出典: 三井物産戦略研究所

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