"カフェ文化が根付いているベトナムにおいて、消費者の行動に変化の兆しが見え始めています。最新の消費者動向調査によると、カフェやレストランなどの外食でコーヒーやミルクティーを「定期的」に消費する人の割合が減少していることが明らかになりました [1]。 これまでベトナムの若者やオフィスワーカーにとって、..."
外食でのカフェ利用頻度が低下
カフェ文化が根付いているベトナムにおいて、消費者の行動に変化の兆しが見え始めています。最新の消費者動向調査によると、カフェやレストランなどの外食でコーヒーやミルクティーを「定期的」に消費する人の割合が減少していることが明らかになりました [1]。
これまでベトナムの若者やオフィスワーカーにとって、週に何度もカフェに足を運び、友人との交流や仕事の場として利用することは日常的な風景でした。しかし、経済的な不確実性や物価の上昇を背景に、消費者は支出に対してより慎重になっています。
調査結果は、多くの消費者が外食での飲料消費の頻度を減らし、代わりに自宅やオフィスでコーヒーを淹れたり、市販の飲料を購入したりする傾向(Home Consumption)にシフトしていることを示しています。

図:カフェでのコーヒー・ミルクティー消費頻度の変化(Vietnam Insight作成)
支出の最適化と健康意識の高まり
この「外食カフェ離れ」の背景には、主に2つの要因が考えられます。
第一に、**支出の最適化(コスト意識)**です。一杯5万〜10万VND(約300〜600円)するカフェのドリンクを日常的に購入することは、特にインフレ圧力に直面している若年層にとって負担となりつつあります。消費者は、本当に価値を感じる「特別な体験」にはお金を払いますが、日常的な習慣としてのカフェ利用は見直す傾向にあります。
第二に、健康意識の高まりです。特に砂糖を多く含むミルクティーや甘いコーヒードリンクに対する健康懸念が、一部の消費者、特にミレニアル世代やZ世代の間で広がっています。より健康的な選択肢を求めて、糖分をコントロールしやすい自作の飲料や、健康に配慮した代替飲料を選ぶ人が増えています。
カフェチェーンに求められる戦略転換
この消費トレンドの構造変化は、激しい競争が繰り広げられているベトナムのF&B(飲食)市場、特にカフェチェーンに対して戦略の転換を迫っています。
単に場所と飲み物を提供するだけでは、消費者を惹きつけることが難しくなっています。成功しているブランドは、以下のようなアプローチで適応を図っています:
- 体験価値の向上: インスタ映えする独特の空間デザインや、高品質なスペシャルティコーヒーの提供など、自宅では再現できない「体験」を強化する。
- 製品ラインナップの多様化: 健康志向の顧客向けに、無糖オプション、植物性ミルク(オーツミルクなど)、フルーツティーなどのヘルシーなメニューを拡充する。
- デリバリーとテイクアウトの最適化: 外出を控える消費者向けに、デリバリーアプリでのプロモーションや、持ち帰り専用の魅力的なパッケージングを強化する。
- リテール製品の展開: カフェの味を自宅で楽しめるように、自社ブランドのコーヒー豆やインスタント製品の販売を拡大する。
ベトナムのコーヒー市場そのものが縮小しているわけではありません。消費の「場所」と「質」に対する要求が変化しているのです。この変化を正確に捉え、機敏に対応できるF&Bブランドだけが、次なる成長の波に乗ることができるでしょう。
References
[1] VnExpress. "Fewer people drink coffee, milk tea outside home regularly: survey". https://e.vnexpress.net/news/business/economy/fewer-people-drink-coffee-milk-tea-outside-home-regularly-survey-5060918.html



