"2026年第1四半期(Q1)のベトナム不動産市場において、住宅や工業用不動産が回復基調にある一方で、リゾート不動産セグメントは顕著な減速の兆しを見せています。 業界の最新データによると、コンドテル(コンドミニアムとホテルを融合した物件)やリゾートヴィラ、ショップハウスなどの観光・リゾート向け不動産..."
リゾート不動産市場の顕著な減速
2026年第1四半期(Q1)のベトナム不動産市場において、住宅や工業用不動産が回復基調にある一方で、リゾート不動産セグメントは顕著な減速の兆しを見せています。
業界の最新データによると、コンドテル(コンドミニアムとホテルを融合した物件)やリゾートヴィラ、ショップハウスなどの観光・リゾート向け不動産の新規供給と取引量が、前年同期比で大幅に減少しています。観光業自体は外国人観光客の増加により力強い回復を見せているにもかかわらず、不動産投資の資金はリゾート物件に向かっていないのが現状です。
この背景には、市場の構造的な問題と投資家心理の冷え込みが複雑に絡み合っています。

図:不動産セグメント別取引件数(Q1比較)(Vietnam Insight作成)
コンドテル市場の課題と法的不確実性
リゾート不動産の減速を牽引している最大の要因は、コンドテル市場の低迷です。数年前のブーム期には、開発業者が年8〜12%という高い利回り保証(Guaranteed Yield)を提示し、多くの個人投資家を引き付けました。
しかし、パンデミックの影響や開発業者の資金繰り悪化により、この利回り保証が履行されないケースが相次ぎました。これにより投資家の信頼は大きく損なわれ、現在もその傷跡が深く残っています。
さらに、コンドテルの法的な位置づけに関する不確実性も足かせとなっています。所有権(ピンクブック)の発行要件や、居住用と商業用の区別に関する法整備が遅れており、投資家は権利関係の曖昧な物件への投資を敬遠する傾向にあります。2025年に改正された関連法案においても、リゾート不動産に関する一部の細則がまだ現場レベルで完全に浸透・機能していないとの指摘があります。
投資家の資金シフトと「質」への転換
リゾート不動産が苦戦する一方で、ハノイやホーチミン市などの主要都市部におけるマンションやタウンハウスといった実需向け住宅不動産は、堅調な取引を維持しています。投資家は、利回りは低くとも法的リスクが少なく、流動性の高い都市部の住宅物件へと資金をシフトさせています。
専門家は、ベトナムのリゾート不動産市場が「量から質」への転換期にあると分析しています。単に物件を販売して終わりではなく、国際的なホテルブランドと提携し、質の高い管理運営サービスを提供できるプロジェクトのみが生き残る時代に入っています。
また、ウェルネスツーリズムやエコツーリズムなど、新しい観光トレンドに対応した付加価値の高いリゾート物件へのニーズは存在しています。開発業者は、単なる利回り保証という金融商品的なアプローチから脱却し、リゾートとしての本質的な価値と持続可能な運営モデルを提示することが求められています。
観光業の回復が即座にリゾート不動産の売上に直結しないという現状は、市場がより成熟し、投資家の目が肥えてきた証左でもあります。法整備の進展と開発業者のビジネスモデルの転換が、今後の市場回復の鍵を握ることになります。
References
[1] VnEconomy. "Resort real estate shows signs of slowing in Q1". https://en.vneconomy.vn/resort-real-estate-shows-signs-of-slowing-in-q1.htm



