"2026年3月9日のベトナム株式市場は、前例のない規模の売り浴びせに見舞われ、主要株のほぼ全てが大幅に下落する歴史的な一日となった。中東情勢の緊迫化を背景とした世界的な石油価格の急騰が投資家心理を急速に冷やし、ホーチミン証券取引所のVN-Indexは過去最大の下げ幅を記録した。"
VN-Indexが115ポイント超の歴史的急落、過去最大の下げ幅を記録―世界的な石油価格高騰が市場を直撃
2026年3月9日のベトナム株式市場は、前例のない規模の売り浴びせに見舞われ、主要株のほぼ全てが大幅に下落する歴史的な一日となった。中東情勢の緊迫化を背景とした世界的な石油価格の急騰が投資家心理を急速に冷やし、ホーチミン証券取引所のVN-Indexは過去最大の下げ幅を記録した。
前例のない規模のパニック売り
3月9日の取引終了時点で、VN-Indexは前日比115.05ポイント(6.51%)安の1,652.79ポイントと、壊滅的な下落を記録した。大型株で構成されるVN30-Indexも同様に約6.5%下落し、1,780.71ポイントで取引を終えた。ホーチミン証券取引所では、値下がり銘柄数が366に達し、そのうち233銘柄がストップ安となるなど、市場は全面安の様相を呈した。
ハノイ在住のある投資家は、「前例のないペースで株価が下落した。これは、昨年4月にドナルド・トランプ前米大統領下で相互関税が可決された時よりも急激な下げだ。ほぼ全ての優良株がストップ安となり、売り圧力は依然として極めて大きい」と、市場の混乱ぶりを語った。
市場関係者によると、この日の市場は取引開始直後から一貫して下落し、取引終了時に最安値を付けるという、過去の調整局面とは異なるパターンを示した。これは、投資家の間に深刻なパニックが広がっていることの証左であり、多くの投資家が追証(マージンコール)に直面している可能性を示唆している。
急落の引き金は「オイルショック」
今回の歴史的な株価急落の直接的な引き金となったのは、中東情勢の緊迫化による世界的な石油価格の高騰である。イランを巡る地政学的リスクの高まりを受け、主要な輸送ルートであるホルムズ海峡の封鎖懸念が浮上。これにより、WTI原油先物価格はアジア時間の9日早朝、一時1バレル118ドルを超え、前週から36%以上も上昇する異常事態となった。
CSI証券リサーチセンターのディレクター、Luu Chi Khang氏は、「石油価格の上昇はインフレ懸念を増幅させる。これにより、中央銀行が利下げを躊躇、あるいは利上げに転じる可能性が生まれ、リスクの高い市場から資金が流出する原因となる」と分析する。
SSI証券の専門家であるPhan Van Nhan氏も、石油価格の急騰、インフレへの恐怖、パニック売り、そして追証が連鎖的に発生し、株価を急速に押し下げたと指摘。今後の見通しについては、「もし石油価格が高止まりすれば、株式市場は下落を続ける可能性がある。しかし、紛争が終結し、価格が急落すれば、市場は即座に反転する可能性もある」と、予測の難しさを強調した。
今後の見通しと市場のサポートレベル
専門家の間では、急落後の市場の行方について様々な見方が出ている。VNDirect証券(VND)は、1バレル100ドルを超える原油価格が長期化すれば、ベトナムのマクロ経済に大きなリスクをもたらすと警告。消費者物価指数(CPI)は2026年第2四半期にも政府目標である4.5%に達する可能性があり、金融緩和の余地が狭まるとしている。
テクニカルな観点からは、VN-Indexは現在、1,660ポイント、1,600ポイント、そして1,500ポイントという3つの主要なサポートレベル周辺で推移している。特に1,500ポイントは市場の中期的な上昇トレンドを維持する上で極めて重要な節目と見なされており、これを下回るようなことがあれば、さらなる下落も視野に入ってくる。
一方で、急落によって株価の割安感が増しているとの指摘もある。現在のVN-Indexの株価収益率(PER)は過去5年間の平均を下回っており、中長期的な視点を持つ投資家にとっては、優良株を安値で仕込む好機と捉えることもできる。
世界的な地政学リスクに大きく揺さぶられたベトナム株式市場。当面は、原油価格の動向と中東情勢のニュースに一喜一憂する不安定な展開が続きそうだ。
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