"米国の公式データによると、2026年1月のベトナムの対米貿易黒字は190億ドルで、メキシコ・中国を抜いて全貿易相手国中で最大となった。ベトナムの対米輸出は前年同月比53%増の200億ドル超を記録。トランプ政権はベトナムを含む複数国に対し不公正な貿易慣行の疑いで新たな調査を開始しており、通商摩擦リスクが高まっている。"
ベトナム、対米貿易黒字が世界最大に。1月単月で190億ドル、輸出は53%増
概要
米国の公式データによると、2026年1月のベトナムの対米貿易黒字は190億ドルに達し、メキシコ・中国を抜いて全貿易相手国中で最大となった。ベトナムの対米輸出は前年同月比53%増の200億ドル超を記録した一方、米国の対中輸入は同期間に46%減少。ベトナムは中国製品の「迂回輸出」疑惑を巡り、米国との通商交渉が難航している。
詳細
ロイター通信が3月13日に報じたところによると、米国の公式統計が示す2026年1月の対ベトナム貿易赤字は190億ドルで、台湾・メキシコ・中国を上回り全貿易相手国中で最大となった。
ベトナムの2025年通年の対米貿易黒字は1,780億ドルに達しており、2025年第2四半期以降は中国を上回る水準が続いている。
2026年1〜2月のベトナム全体の輸出額は764億ドル(前年同期比18.3%増)と好調で、政府が掲げる年間輸出成長率15〜16%目標(輸出額5,460〜5,500億ドル)を上回るペースで推移している。

米国はベトナムを中国製品の「迂回輸出」拠点として繰り返し批判しており、トランプ政権は2025年8月にベトナム製品に20%の関税を課した。その後、連邦最高裁が2026年2月にトランプ政権のグローバル関税を違法と判断したことを受け、ホワイトハウスは150日間の10%グローバル関税を発動している。
さらに今週、米国はベトナムを含む複数国に対し、不公正な貿易慣行の疑いで新たな調査を開始したと報じられている。ベトナムと米国は数ヶ月にわたって通商協定の交渉を続けているが、大幅な貿易不均衡と関税率をめぐる意見の相違から合意に至っていない。
背景
ベトナムの対米輸出急増の背景には、米国が中国製品に高関税を課したことで、中国からの直接輸出が減少し、ベトナム経由の輸出が増加したという構造的な要因がある。ベトナムへの中国製品の輸入(主に再輸出向け)は2026年1月に過去最高水準に達しており、米国の懸念を裏付ける形となっている。
一方、ベトナム政府は正規の製造・輸出拡大を強調しており、電子機器・繊維・履物・水産物など多様な品目での輸出競争力向上を主張している。
考察
対米貿易黒字の世界最大化は、ベトナムにとって諸刃の剣だ。輸出好調は経済成長を支える一方、米国からの関税引き上げや制裁リスクを高める。特に「迂回輸出」疑惑に対する米国の調査強化は、ベトナムの輸出企業に深刻な影響を与えかねない。
ベトナム政府は輸出先の多様化(EU・ASEAN・中東・アフリカ市場の開拓)と、米国との通商協定締結に向けた交渉加速の両面で対応を迫られている。
まとめ
ベトナムの対米貿易黒字が世界最大となったことは、輸出主導型経済の強さを示す一方で、米国との通商摩擦リスクを高める。関税政策の動向と通商交渉の行方が、ベトナム経済の2026年の最大のリスク要因の一つとなっている。
