"ハノイ・ホーチミン市の伝統市場(チョー)で、若い起業家たちがカフェや軽食スタンドを開業するトレンドが加速している。月3〜5百万VND(約18〜30ドル)という低賃料の空き区画を活用し、SNSで集客する新世代の出店スタイルが注目を集めている。老朽化が進む伝統市場の活性化策としても期待されており、地方自治体も積極的に支援する動きが広がっている。"
ベトナム伝統市場に若者が出店ラッシュ、低賃料の空き区画が新たな起業の場に
概要
ベトナム各地の伝統市場で、空き区画に若者たちがカフェやファッションなどの小規模店舗を続々とオープンさせ、新たな活気を生み出している。かつては生鮮食品や日用品が中心だった市場が、若者文化の発信地へと変貌を遂げつつある。背景には、商業施設に比べて格段に安い賃料と、SNSを活用した新しいビジネスモデルの広がりがある。
詳細
この動きは、特にホーチミン市やハノイなどの大都市で顕著に見られる。例えば、ホーチミン市のかつて活気のあった市場では、多くの店主が高齢化や後継者不足で廃業し、空き区画が目立っていた。しかし、ここ1〜2年で状況は一変。若者たちが月額数百万ドン(数万円程度)という低賃料の区画を借り、内装に工夫を凝らしたカフェ、古着屋、手作りアクセサリーの店などを開業している。
彼らの多くは、店舗を物理的な販売拠点としてだけでなく、オンラインビジネスのショールームやSNSでの情報発信基地として活用している。InstagramやFacebookで商品の魅力を伝え、ライブコマースで販売する。店舗は、顧客が実際に商品を手に取ったり、ブランドの世界観を体験したりする場として機能しているのだ。
ハノイのある市場でカフェを経営する20代の女性は、「ショッピングモールの賃料は高すぎて手が出ないが、ここならリスクを抑えて自分の店を持つ夢が叶えられた。SNSで店のコンセプトを発信することで、遠方からもお客様が来てくれる」と語る。

伝統市場にオープンした若者向けのカフェ(イメージ)
背景
ベトナムでは近年、若者世代(Gen Z)を中心に起業への関心が高まっている。政府もスタートアップ支援を強化しており、若者が挑戦しやすい環境が整いつつある。しかし、都心部の商業施設の賃料高騰は、多くの若手起業家にとって大きな障壁となっていた。
一方で、伝統市場はオンラインショッピングの普及やスーパーマーケットとの競争激化により、その役割が徐々に低下していた。空き区画の増加は、市場の管理者にとっても悩みの種だった。この両者のニーズが合致した結果、伝統市場が若者の新たなビジネスチャンスの受け皿となった形だ。
考察
このトレンドは、単に空きスペースが埋まったというだけでなく、ベトナムの小売業と都市文化に構造的な変化をもたらす可能性を秘めている。若者たちは、伝統的な空間に新しい感性とビジネスモデルを持ち込むことで、市場を単なる「買い物をする場所」から「体験を共有し、文化が生まれる場所」へと再定義している。
この動きは、地域経済の活性化にも繋がる。若者が集まることで市場全体の客層が広がり、既存の店舗にも新たな顧客を呼び込む相乗効果が期待できる。ただし、インフラの老朽化や衛生面など、伝統市場が抱える課題も依然として存在する。今後、若手起業家と市場管理者が連携し、これらの課題を解決しながら、新旧が共存する魅力的な空間を創造していけるかが鍵となるだろう。
まとめ
ベトナムの伝統市場は、若手起業家たちの手によって、新たな価値を持つ商業空間として生まれ変わろうとしている。低コストで起業できるという経済的なメリットに加え、SNSを駆使した現代的なマーケティング手法が、この動きを加速させている。伝統と革新が融合するこれらの市場は、今後のベトナムの消費トレンドを占う上で、見逃せない存在となりそうだ。



