ベトナムでの輸入規制と通関手続き完全ガイド【2026年最新版】
Back to Articles
進出ガイド 2026年3月3日 3分で読めます

ベトナムでの輸入規制と通関手続き完全ガイド【2026年最新版】

"ベトナムへ商品を輸出する際に必要な輸入規制と通関手続きを網羅的に解説。電子通関システムVNACCS/VCISの使い方、グリーン・イエロー・レッドチャネルの分類基準、HSコードと関税率(MFN税率・FTA税率)、CPTPP・RCEP・AJCEPの活用方法、2026年現在の食品安全基準強化や環境規制の最新動向まで詳しく紹介。"

ベトナムでの輸入規制と通関手続き完全ガイド【2026年最新版】

2026年3月4日

ベトナムは、その急速な経済成長と拡大する消費市場を背景に、多くの日本企業にとって魅力的な輸出先となっています。しかし、ベトナムへ商品を輸出する際には、独自の輸入規制と複雑な通関手続きを理解しておくことが不可欠です。本記事では、2026年現在の最新情報に基づき、ベトナムの輸入規制と通関手続きの要点を網羅的に解説します。

1. ベトナムの輸入管理制度の概要

ベトナムの輸入管理は、主に**税関総局(General Department of Vietnam Customs)**が管轄しています。基本的な法的枠組みは、関税法、輸出入税法、および関連する政令・通達によって構成されています。多くの品目は自由な輸入が可能ですが、一部の品目については、輸入ライセンスの取得、禁止・制限、専門的な検査などが求められます。

主な輸入規制の種類

規制の種類 内容 主な対象品目例
輸入禁止品目 国防、安全保障、社会道徳、健康、環境保護の観点から輸入が禁止されている品目。 武器、弾薬、特定の化学物質、有害廃棄物、右翼的な文化製品など。
輸入許可が必要な品目 所管官庁から事前に輸入ライセンスを取得する必要がある品目。 新聞、雑誌、カレンダー、特定の医薬品、植物・動物など。
専門検査が必要な品目 品質、衛生、安全基準を満たしているかを確認するため、専門機関による検査が義務付けられている品目。 食品、医薬品、化粧品、農薬、肥料、動物飼料、電子製品など。

2. 通関手続きの流れ

ベトナムの通関手続きは、電子通関システム**「VNACCS/VCIS」**を通じて行われます。これは日本のNACCSをベースに開発されたシステムで、申告から納税、許可までをオンラインで完結させることが可能です。

標準的な通関プロセス

  1. 電子通関システムへの登録: 初めて輸入を行う事業者は、まず税関総局に登録し、デジタル署名を取得する必要があります。
  2. 輸入申告(Customs Declaration): 船積書類(インボイス、パッキングリスト、船荷証券(B/L)など)に基づき、VNACCS/VCISを通じて輸入申告を行います。
  3. 書類審査と貨物検査: 申告内容に基づき、税関はリスクに応じて以下の3つのチャネルに分類します。
    • グリーンチャネル(Green Channel): 書類審査・貨物検査が免除され、即座に輸入が許可されます。
    • イエローチャネル(Yellow Channel): 申告書類の詳細な審査が行われます。
    • レッドチャネル(Red Channel): 書類審査に加え、貨物の現物検査が実施されます。
  4. 関税等の納税: 輸入関税、付加価値税(VAT)、特別消費税(SCT)などの税金を納付します。納税もVNACCS/VCISを通じて電子的に行うことができます。
  5. 貨物の引き取り: 税関から輸入許可が下りたら、港や空港から貨物を引き取ることができます。

ベトナムの港
写真: 活気のあるベトナムの港湾。物流インフラの整備が急ピッチで進んでいる。(写真提供: Vietnam+)

3. 関税制度とHSコード

ベトナムの関税率は、商品の**HSコード(Harmonized System Code)**によって決定されます。HSコードは、商品を国際的に統一された基準で分類するための番号です。

ベトナムは、WTO加盟国として、また多くの自由貿易協定(FTA)を締結しているため、関税率は複数の種類が存在します。

  • 一般税率(Ordinary Rate): FTAを締結していない国からの輸入品に適用される基本税率。
  • MFN税率(最恵国待遇税率): WTO加盟国からの輸入品に適用される税率。
  • FTA税率(特別優遇税率): 日本も参加するCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)やRCEP(地域的な包括的経済連携協定)、AJCEP(日・ASEAN包括的経済連携協定)など、FTA締結国からの輸入品に適用される優遇税率。

適切なFTA税率の適用を受けるためには、原産地証明書(C/O)の提出が必須となります。どの協定を利用するのが最も有利かを事前に検討することが重要です。

4. 2026年現在の注意点と最新動向

  • 食品安全・品質基準の厳格化: ベトナム政府は国民の健康意識の高まりを受け、食品や消費財に対する安全基準や品質検査を年々強化しています。特に、食品安全に関する政令15/2018/ND-CPの詳細な規定を遵守することが求められます。
  • 環境関連規制の強化: 環境保護の観点から、中古機械や電子廃棄物などの輸入に対する規制が厳しくなっています。輸入する製品がベトナムの環境基準を満たしているかを事前に確認する必要があります。
  • デジタル化の推進: 税関総局は、通関手続きのさらなる迅速化と透明化を目指し、AIやビッグデータを活用したリスク管理システムの高度化を進めています。今後も、より一層のデジタル化が進むと予想されます。

考察

ベトナムへの輸出を成功させるためには、複雑な輸入規制と通関手続きを正確に理解し、適切に対応することが不可欠です。特に、HSコードの正確な分類、適用される関税率の確認、そして必要なライセンスや検査の事前準備を怠ると、予期せぬ遅延やコスト増につながる可能性があります。

初めてベトナムへ輸出を行う企業や、複雑な規制が適用される製品を取り扱う企業は、現地の事情に精通した通関業者やコンサルタントといった専門家のサポートを活用することが、スムーズなビジネス展開の鍵となるでしょう。変化の速いベトナムの規制動向を常に注視し、柔軟に対応していく姿勢が求められます。


参照:

  • [1] JETRO - ベトナム 貿易管理制度
  • [2] ベトナム税関総局 (General Department of Vietnam Customs)
出典: Vietnam Insight

この記事をシェアする