"ベトナム不動産協会(VNREA)は、住宅価格の上昇ペースが世帯所得の伸びを大幅に上回り、特に若年層の住宅取得が困難になっていると警告。2026年の住宅供給は約15万戸が見込まれるが、法的整備・立地・デベロッパーの信頼性が高いプロジェクトに取引が集中し、市場の二極化が加速する見通し。"
ベトナムの住宅価格と所得の乖離が拡大、2026年は市場の二極化が鮮明に
概要
ベトナム不動産協会(VNREA)は2026年3月12日、ハノイで開催した年次総会において、住宅価格と世帯所得の乖離拡大が市場の長期的バランスに懸念をもたらしていると警告した。2026年は住宅供給が増加する一方で、価格上昇が購買力を上回り続けており、市場の二極化がより鮮明になると予測されている。
詳細
VNREA副会長でベトナム不動産仲介業協会会長のNguyễn Văn Đính氏は、2025年に数百件のプロジェクトが全国で立ち上げられ住宅供給が大幅に増加したにもかかわらず、市場回復は新たな課題をもたらしていると指摘した。
最大の問題は、住宅価格の上昇ペースが世帯所得の伸びを大幅に上回っていることだ。ハノイ・ホーチミン市などの主要都市では、住宅価格が近年継続的に上昇しており、特に若年層の住宅取得が困難になっている。売り手は価格を維持または小幅調整にとどめる一方、買い手はより慎重になっており、市場の観望姿勢が強まっている。
VNREAの予測によると、2026年の住宅供給は予定通りにプロジェクトが進めば約15万戸に達する見込みだ。地域別では、北部が約6万戸(ハノイ・フンイエン省で約4万戸)、ホーチミン市が約5.5万戸と見込まれている。

主要都市での価格上昇を受け、投資資金は郊外エリアへのシフトが見込まれるが、Đính氏はすべての郊外エリアが投資を呼び込めるわけではないと警告する。交通インフラが未整備で公共サービスが不十分な地域では、実需が育たず、大量供給されても取引が低迷するリスクがある。
背景
ベトナムの住宅市場は、経済成長・急速な都市化・中間層の拡大を背景に需要が高水準を維持している。しかし、政府が推進する低価格住宅(ソーシャルハウジング)の供給は遅れており、中低所得層の住宅取得支援が課題となっている。
政府は2026年3月、社会住宅購入者の所得上限を月15万円相当から20万円相当(2,000万VND/月)に引き上げる方針を示しており、購入資格の緩和による需要喚起を図っている。
考察
住宅価格と所得の乖離拡大は、ベトナム不動産市場の構造的課題だ。供給が増加しても価格が下がらない背景には、デベロッパーが高価格帯プロジェクトに集中する傾向があり、中低所得層向けの手頃な住宅が慢性的に不足している。
2026年の市場は「選別」が進む年となりそうだ。法的整備が完了し、立地・デベロッパーの信頼性が高いプロジェクトに取引が集中する一方、過剰価格設定や開発戦略の弱いプロジェクトは苦戦が続くと予想される。
まとめ
ベトナムの住宅市場は供給増加の一方で価格と所得の乖離が深刻化しており、2026年は市場の二極化が加速する見通しだ。郊外エリアへの投資シフトが進む中、インフラ整備の進捗と開発者の質が取引の成否を左右する重要な要因となる。



