ベトナムのファストフード市場、1回の来店で平均135,000ドン—フライドチキンが消費の82%を占める
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ニュース 2026年3月3日 3分で読めます

ベトナムのファストフード市場、1回の来店で平均135,000ドン—フライドチキンが消費の82%を占める

"Insight Asiaの最新レポートによると、ベトナムの消費者はファストフード店への1回の来店で平均135,000ドン(約5.15米ドル)を支出。家族連れは212,000ドンと高水準。フライドチキンが82%を占め、デリバリー経由が47%以上に拡大。市場は2025年に約8.6億米ドルを記録し、年平均5.65%成長が続く見通し。"

ベトナムのファストフード市場、1回の来店で平均135,000ドン—フライドチキンが消費の82%を占める

2026年3月4日

ホーチミン市 – ベトナムのファストフード市場が、急速な成長と構造的な変化を遂げている。市場調査会社Insight Asiaが発表した「2026年ベトナムファストフード市場・消費者動向レポート」によると、ベトナムの消費者はファストフード店への1回の来店で平均135,000ドン(約5.15米ドル)を支出していることが明らかになった。

家族連れが市場を牽引、1回の支出は212,000ドンに

来店客の属性別に見ると、家族連れの1回あたりの支出は平均212,000ドン(約8.09米ドル)に達する一方、1人での来店は平均76,000ドン(約2.9米ドル)と大きな差がある。この数字は、ファストフード市場が単身者向けの「手軽な食事」という枠を超え、家族の外食先としても定着しつつあることを示している。

注文形式では、コンボミール(セットメニュー)が全注文の68%を占め、売上全体の72%を生み出している。追加アイテム付きのコンボを注文する顧客は全体の16%に過ぎないが、売上への貢献は23%に上る。この傾向は、消費者が純粋な価格重視から「価値ある支出」へとシフトしていることを示しており、チェーン側にとっては客単価を引き上げる余地があることを意味する。

ホーチミン市のマクドナルド店舗
写真: ホーチミン市のマクドナルド店舗(写真提供: The Investor)

フライドチキンが圧倒的優位、82%が選択

品目別の消費動向では、フライドチキン関連商品が際立った人気を誇る。直近の来店でフライドチキン関連の商品を選んだと回答した消費者は82%に達し、バーガー(11%)やピザ(7%)を大きく引き離している。

市場は主に、フライドチキン系チェーン、ピザ系チェーン、バーガー系チェーンの3セグメントに分類される。フライドチキン系チェーンは、メニューのローカライズが容易で、デリバリーとの相性も良いため、収益効率の面でも優位性を持つ。

競合状況を店舗数で見ると、韓国系のロッテリアが222店舗でトップ、フィリピン系のジョリビーが213店舗、米国系のKFCが172店舗、マクドナルドが37店舗と続く。アジア系ブランドはコンボ価格戦略とメニューのローカライズで大衆市場を取り込む一方、KFCやマクドナルドはブランド力とプレミアムポジショニングで高い客単価を維持している。

デジタル化が新たな成長エンジンに

市場成長を後押しする新たな要因として、デジタル化の進展が挙げられる。現在、全注文の47%以上がフードデリバリープラットフォームを経由しており、チェーンは物理的な店舗網を超えた顧客へのリーチが可能となっている。

消費者の来店動機を見ると、「味」が74%でトップ、次いで「利便性」(48%)、「価格」(43%)と続く。この傾向は、標準化されたメニューと効率的なオペレーションを強みとするフライドチキン系チェーンの事業モデルと高い親和性を持つ。

市場調査会社IMARCグループによると、ベトナムのファストフード市場は2024〜2032年にかけて年平均5.65%の成長率(CAGR)で拡大すると予測されている。また、ユーロモニターの調査では、2025年のベトナムのファストフード市場の売上高は22兆3,900億ドン(約8億6,200万米ドル)と、前年比6.8%増を記録したことが明らかになっている。

考察

ベトナムのファストフード市場は、単なる「外食の手軽な選択肢」から、家族の外食文化や若者のライフスタイルに深く根ざした存在へと進化している。フライドチキンの圧倒的な人気は、ベトナム人の味覚や食文化との高い親和性を示しており、この傾向は当面続くと見られる。

一方、デリバリーの台頭は、市場の競争構造を大きく変えつつある。実店舗の立地に縛られない競争が激化する中、デジタルマーケティング能力やデリバリーオペレーションの効率性が、チェーンの優劣を決する重要な要素となるだろう。

今後は、単純な店舗数の拡大競争から、デジタルと実店舗を融合させた顧客体験の向上や、ブランドロイヤルティの構築へと、競争の軸がシフトしていくと予想される。


参照:

出典: The Investor

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