"再生可能エネルギーの普及に不可欠な蓄電池(BESS:Battery Energy Storage System)の価格が急落しており、ベトナムのエネルギー転換計画に追い風となっている。政府は2030年までに300MWhのBESS導入を目標とし、太陽光・風力発電の安定供給を実現する方針だ。"
蓄電池の価格革命が、ベトナムのエネルギー転換を後押し
再生可能エネルギーの最大の弱点は「発電量が天候に左右される」という不安定性だ。この問題を解決するのが、蓄電池システム(BESS:Battery Energy Storage System)である。
2026年現在、BESSの価格は2020年比で約60%下落しており、ベトナムでも本格的な導入が現実的なコストで可能になりつつある。
ベトナムの再生可能エネルギー目標
ベトナム政府は「国家電力開発計画(PDP8)」において、再生可能エネルギーの比率を2030年までに35%、2050年までに70%に引き上げる目標を掲げている。

出典: ベトナム工業貿易省(MOIT)データをもとに作成
BESSの役割と導入計画
太陽光・風力発電は、日照や風況によって発電量が変動する。BESSはこの余剰電力を蓄え、需要が高い時間帯に放電することで、電力系統の安定化を図る。
ベトナム電力公社(EVN)は、2030年までに合計300MWhのBESSを系統に接続する計画を発表している。主な設置場所として、南部のビントゥアン省(風力・太陽光の集積地)と、中部高原地帯が候補に挙がっている。
日系企業の参入機会
BESSの導入拡大は、日系企業にとっても大きなビジネスチャンスだ。
パナソニック、東芝、GSユアサなど、日本の蓄電池メーカーはすでにベトナム市場への関心を示している。また、蓄電池の設置・保守・運用を担うEPC(設計・調達・建設)企業にとっても、新たな市場が開拓される。
| 項目 | 現状 | 2030年目標 |
|---|---|---|
| BESS導入量 | 約50MWh | 300MWh |
| 再エネ比率 | 約15% | 35% |
| 太陽光発電容量 | 約17GW | 30GW |
| 風力発電容量 | 約5GW | 21GW |
課題:系統接続と規制整備
一方で、BESSの大規模導入には課題もある。送電網の整備が追いついていない地域では、発電した電力を系統に流せない「出力制御」が発生している。
また、BESSの設置・運用に関する規制・認可制度がまだ整備途上にあり、外資系企業が参入する際の障壁となっている。
[参考文献]
[1] Vietnam Ministry of Industry and Trade. "National Power Development Plan 8 (PDP8)." 2023.
[2] EVN. "Battery Energy Storage System Deployment Plan." 2026.



