"HSBCベトナムは、ベトナムが2030年までに国際的な投資適格信用格付けを取得するための支援を強化すると表明した。財政健全化、資本市場の整備、透明性向上が主要課題として挙げられており、達成すれば外国直接投資の大幅増加が期待される。"
投資適格格付けが、ベトナム経済を次のステージへ
HSBCベトナムは2026年3月、ベトナムが国際的な信用格付け機関から「投資適格(Investment Grade)」の評価を受けるための取り組みを積極的に支援すると発表した。
現在、ベトナムの信用格付けは主要3機関(ムーディーズ、S&P、フィッチ)いずれも「投機的」水準に留まっている。政府は2030年までに少なくとも1機関から投資適格格付けを取得することを目標に掲げている。
投資適格格付けとは何か
信用格付けは、国や企業が借金を返済できる能力を示す指標だ。「投資適格」とは、ムーディーズではBaa3以上、S&PとフィッチではBBB-以上を指す。
この水準に達すると、年金基金や保険会社など、規制上「投資適格以上の資産にしか投資できない」機関投資家からの資金が流入しやすくなる。

出典: 各格付け機関、ベトナム統計総局データをもとに作成
HSBCが指摘する主要課題
HSBCのレポートによると、ベトナムが投資適格格付けを取得するためには、以下の課題への対応が必要だとされている。
| 課題 | 現状 | 目標 |
|---|---|---|
| 財政赤字/GDP比 | 約4.0% | 3.0%以下 |
| 政府債務/GDP比 | 約35% | 40%以下を維持 |
| 外貨準備高 | 約3ヶ月分 | 4ヶ月分以上 |
| 資本市場の整備 | 発展途上 | FTSE新興国市場昇格 |
達成した場合の経済効果
HSBCの試算では、投資適格格付けを取得した場合、年間の外国直接投資(FDI)が現在の約180億ドルから250億ドル以上に増加する可能性があるとしている。
また、国債の利回りが低下することで、政府の借入コストが削減され、インフラ投資に充てられる資金が増える効果も期待される。
日系企業への示唆
ベトナムへの投資を検討している日系企業にとって、信用格付けの向上は「カントリーリスク」の低下を意味する。
格付けが上がれば、ベトナム現地法人への融資条件が改善されたり、現地での資金調達がしやすくなったりする効果も見込まれる。
[参考文献]
[1] HSBC Vietnam. "Vietnam's Path to Investment Grade." March 2026.
[2] The Investor. "Vietnam's path to an investment-grade rating." 2026.



