ホーチミン市のレストランシーン、日本食と「ニッケイ料理」が新たな主役に
Back to Articles
ニュース 2026年3月30日 3分で読めます

ホーチミン市のレストランシーン、日本食と「ニッケイ料理」が新たな主役に

"ホーチミン市の飲食業界では、2026年に入り本格的な日本食と、日本の食文化が南米のテイストと融合した「ニッケイ料理」がブームに。新規オープンレストランに占める割合は24%へと倍増し、消費者の「本物」や「新しい食体験」への渇望を反映している。"

ホーチミン市の飲食業界は、2026年に入り新たなトレンドの波を迎えている。伝統的なベトナム料理やフレンチに加え、本格的な日本食と、日本の食文化が南米のテイストと融合した「ニッケイ料理」が、美食家たちの注目を一身に集めているのだ。市内の新規オープンレストランの業態別シェアを見ると、2024年には12%だった日本食・ニッケイ料理の割合が、2026年には24%へと倍増。これは、パンデミックを経て消費者の「本物」や「新しい食体験」への渇望が高まっていることの表れと言える。

ホーチミン市の新規レストラン業態別シェア(%)
2024年と2026年の比較。日本食・ニッケイ料理のシェアが倍増していることがわかる。

ニッケイ料理の旗手「Pisco Hana」

このトレンドを象徴するのが、3区にオープンした「Pisco Hana」だ。ペルー出身の日系3世シェフが腕を振るうこの店では、新鮮な魚介を使ったセビーチェに柚子胡椒を効かせたり、アンデスのジャガイモと日本の照り焼きソースを組み合わせたりと、斬新な料理が並ぶ。特に、アルパカの肉を使った串焼き「アンティクーチョ」に味噌ベースのタレを合わせた一品は、多くの食通を唸らせている。客単価は150万VND(約9,000円)からと高価格帯ながら、予約は1ヶ月先まで埋まっているという。

本格江戸前寿司の深化

一方で、伝統的な日本食も深化を続けている。1区の日本人街・レタントン通りから少し離れた場所にオープンした「鮨・匠(Sushi Takumi)」は、豊洲市場から週3回空輸される新鮮なネタと、赤酢を使ったこだわりのシャリで、本格的な江戸前寿司を提供。おまかせコースは300万VND(約18,000円)からと、市内で最も高価な寿司店の一つだが、現地の富裕層や駐在員を中心に絶大な支持を得ている。「本物の味を知る顧客が増えたからこそ、我々も妥協できない」と、店主の日本人シェフは語る。

ビジネスへの示唆

この二極化するトレンドは、ベトナムの飲食市場が成熟期に入り、消費者のニーズが多様化・高度化していることを示している。単に「日本食」というだけでは生き残れず、「ニッケイ料理」のような新しいコンセプトや、「鮨・匠」のような圧倒的な品質といった、明確な付加価値が求められる時代になった。今後ベトナムでの飲食店展開を考える企業は、ターゲット顧客を明確にし、独自の強みを打ち出す戦略が不可欠となるだろう。

出典: The Dot Magazine / Anima Saigon

この記事をシェアする

Related Articles

ベトナムQ1新規法人設立が前年比57%急増:関税リスクの中で起業ブームが加速する背景
ニュース

ベトナムQ1新規法人設立が前年比57%急増:関税リスクの中で起業ブームが加速する背景

2026年第1四半期、ベトナムの新規法人設立数が前年同期比57%増という驚異的な伸びを記録した。ベトナム通信社(VietnamPlus)が報じたこのデータは、米国の関税強化やホルムズ海峡危機といった外部リスクにもかかわらず、ベトナム国内の起業環境が活況を呈していることを示している。 本稿では、この...

Read More →
ホルムズ海峡封鎖がベトナム農業を直撃:肥料価格50%高騰と食料安全保障リスクの全容
ニュース

ホルムズ海峡封鎖がベトナム農業を直撃:肥料価格50%高騰と食料安全保障リスクの全容

2026年4月13日、米中央軍がホルムズ海峡周辺で海上封鎖を開始したことで、世界のエネルギー市場だけでなく、農業・食料市場にも深刻な影響が波及している。世界第2位のコメ輸出国であるベトナムは、輸送コストの30%急騰と肥料価格の高騰に直面しており、食料安全保障への懸念が高まっている。 本稿では、ホル...

Read More →
ビングループがインド・マハラシュトラ州と65億ドルの投資覚書を締結:EV・都市開発・再エネで南アジア戦略が本格始動
ニュース

ビングループがインド・マハラシュトラ州と65億ドルの投資覚書を締結:EV・都市開発・再エネで南アジア戦略が本格始動

2026年4月10日、ベトナム最大の民間複合企業であるビングループ(VIC.HM)は、インド中西部マハラシュトラ州政府との間で、総額65億ドル(約9,750億円)に上る多分野投資を検討する覚書(MoU)を締結した。ロイター通信が報じたこの合意は、ビングループのインド事業を飛躍的に拡大させるものであり...

Read More →