"タイの農業・食品コングロマリットCPグループのベトナム事業売上高が2025年に前年比17%減少し、過去5年間で最低水準となった。豚肉価格の下落、飼料コスト上昇、国内消費の低迷が主因。"
タイ大手CPグループ、ベトナム売上が17%減—5年ぶり最低水準に
タイの農業・食品コングロマリット、チャロン・ポカパン(CP)グループのベトナム事業の売上高が2025年に前年比17%減少し、過去5年間で最低水準となったことが明らかになった。同グループはベトナムの食肉・飼料・小売市場において長年にわたり圧倒的な存在感を示してきただけに、この大幅な落ち込みは業界内外に衝撃を与えている。
売上減少の背景と要因
CPグループのベトナム法人(CPベトナム)の2025年売上高は、前年の水準を大きく下回り、5年ぶりの最低値を記録した。この減少の主な要因として、豚肉価格の下落、飼料コストの上昇、そして国内消費の低迷が挙げられる。
ベトナムでは2024年後半から2025年にかけて豚肉の供給過剰が続き、価格が大幅に下落した。CPグループはベトナムの養豚業界において最大手の一角を占めており、この価格下落が収益に直接的な打撃を与えた。また、国際的な穀物価格の高止まりにより、飼料コストが高水準で推移したことも利益率の圧迫要因となった。
さらに、テト(旧正月)後の消費回復が期待を下回ったことや、中間所得層の節約志向が強まったことも、食品消費全体の伸び悩みにつながった。
ベトナム市場での競争環境の変化
CPグループは1993年にベトナムに進出し、養豚・養鶏・水産養殖・飼料製造・食品加工・小売(CPフレッシュマート)など幅広い事業を展開してきた。現在もベトナムの農業・食品バリューチェーンにおいて重要な役割を担っているが、近年は国内企業との競争が激化している。
ベトナム国内の農業企業であるMasan Group(WinMart/WinEco)やBAF Vietnam(Bac A Farm)などが積極的に市場シェアを拡大しており、CPグループの従来の優位性が揺らいでいる。特に、国内企業が「ベトナム産」ブランドを前面に打ち出したマーケティング戦略を展開していることが、消費者の購買行動に影響を与えている。
2026年の回復戦略
CPグループは2026年に向けて、ベトナム事業の立て直しを図る方針を示している。具体的には、高付加価値の加工食品ラインの強化、デジタルマーケティングの活用、そして小売チャネルの拡充が柱となる見込みだ。
ベトナムの食品市場は中長期的には成長が見込まれており、都市化の進展や中間所得層の拡大が消費を押し上げる要因となる。CPグループにとって、2026年はベトナム市場での競争力を再構築する重要な年となるだろう。同社の動向は、外資系食品企業がベトナムでどのように競争優位を維持するかという観点からも注目される。


