"2026年第1四半期(Q1)のベトナム不動産市場は、商業用マンションの供給急減と社会住宅(低所得者向け住宅)の建設加速という、明確な「二極化」の様相を呈しています。さらに、一部で実質金利が16%に達するという厳しい資金調達環境が、市場に「大淘汰」の波を引き起こしています。 商業マンションの供給減と..."
2026年第1四半期(Q1)のベトナム不動産市場は、商業用マンションの供給急減と社会住宅(低所得者向け住宅)の建設加速という、明確な「二極化」の様相を呈しています。さらに、一部で実質金利が16%に達するという厳しい資金調達環境が、市場に「大淘汰」の波を引き起こしています。
商業マンションの供給減と価格高止まり
Savillsの最新レポートによれば、2026年Q1の新規マンション供給戸数は約6,108戸にとどまり、前年同期比で大幅な減少を記録しました。特にハノイやホーチミン市などの大都市圏では、新規プロジェクトの許認可遅れや開発業者の資金難が重なり、供給不足が深刻化しています。

出所:Vietnam Insight編集部作成
供給が細る一方で、建設コストの上昇やインフレ懸念を背景に、分譲価格は高止まりを続けています。ハノイの平均マンション単価は9,440万VND/㎡(約56万円/㎡)に達しており、実需層の購買力を大きく超える水準となっています。この結果、取引件数は前年同期比で24%減少するなど、市場の流動性は著しく低下しています。
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社会住宅開発へのシフトと政府の介入
商業不動産が停滞する中、政府が強力に推進する社会住宅プロジェクトが市場の新たな牽引役となっています。政府は「2030年までに100万戸の社会住宅を建設する」という目標を掲げ、開発業者に対する低利融資枠(120兆ドン規模)の拡大や、土地使用料の免除など、様々な優遇措置を展開しています。
最近施行された政令136号により、社会住宅の購入対象となる所得上限が月収2,500万VND(約15万円)に引き上げられました。これにより、これまで商業マンションに手が届かなかった都市部の中間層が社会住宅市場に流入することが予想され、需要の底上げが期待されています。
金利16%の衝撃と「大淘汰」フェーズ
不動産市場の二極化を加速させている最大の要因は、厳しい金融環境です。一部の不動産開発業者に対する貸出金利は実質16%に達しており、資金繰りに行き詰まる企業が続出しています。業界内では、優良な資産と健全な財務基盤を持つ大手デベロッパーへの寡占化が進む「大淘汰」のフェーズに入ったとの見方が支配的です。
今後の展望
2026年のベトナム不動産市場は、法制度の整備(改正土地法、住宅法、不動産事業法の施行)により、長期的には透明性と健全性が向上すると期待されています。しかし短期的には、資金調達難と供給不足による停滞が続く見通しです。投資家にとっては、社会住宅開発や工業団地開発など、政府の政策方針に合致したセクターへの投資が最も確実な戦略となるでしょう。



