"ベトナムの不動産市場は、2025年に顕著な回復を見せた一方で、新たな課題に直面している。 建設省(MOC)が発表した最新の住宅市場レポートによると、2025年第4四半期の不動産在庫は、前期比で大幅に増加した。 特に注目されるのは、アパート市場での在庫増加だ。 2025年前半には在庫が減少していたが、後半に再び増加に転じたことは、市場の需給バランスに変化が生じていることを示している。 ##..."
ベトナムの不動産市場は、2025年に顕著な回復を見せた一方で、新たな課題に直面している。
建設省(MOC)が発表した最新の住宅市場レポートによると、2025年第4四半期の不動産在庫は、前期比で大幅に増加した。
特に注目されるのは、アパート市場での在庫増加だ。
2025年前半には在庫が減少していたが、後半に再び増加に転じたことは、市場の需給バランスに変化が生じていることを示している。
在庫が前期比123.7%に増加
建設省のレポートによると、2025年第4四半期の不動産在庫は、全国で32,894ユニット/区画に達した。
内訳は以下の通りだ。
- アパート: 10,950ユニット以上
- 一戸建て: 9,810戸
- 土地区画: 残り
前期(第3四半期)と比較すると、アパートと一戸建ての在庫は123.7%、土地区画は121.6%と、いずれも大幅に増加している。
この在庫増加は、供給が需要を上回り始めていることを示唆している。
2025年前半と後半で在庫動向が逆転
興味深いのは、2025年の在庫動向が前半と後半で大きく異なることだ。
2025年前半(第1四半期~第2四半期)には、アパート在庫が減少傾向にあった。
これは、需要が供給を上回り、市場が活況を呈していたことを示している。
しかし、後半(第3四半期~第4四半期)には、在庫が再び増加に転じた。
この変化は、新規プロジェクトの供給増加、購入者の慎重姿勢、金利上昇などの複数の要因によるものと考えられる。
価格は依然として高水準を維持
在庫が増加している一方で、アパート価格は依然として高水準を維持している。
建設省のレポートによると、2025年第4四半期のハノイ、ホーチミン市、主要都市圏のアパート価格は、前期と比較して基本的に安定しており、高水準を維持している。
2025年通年では、全国のアパート価格は2024年と比較して20~30%上昇し、一部地域ではさらに高い上昇率を記録した。
特に、中高級セグメントでの価格上昇が顕著だ。
新規供給が大幅に増加
在庫増加の主な要因は、新規プロジェクトの供給増加だ。
ベトナム不動産協会(VARS)の報告によると、2025年には市場に投入された新築アパートの数が214%以上増加した。
この大幅な供給増加は、2024年までの供給不足を解消するための動きだった。
しかし、供給が急増したことで、市場の需給バランスが変化し、在庫が増加する結果となった。
吸収率は70%以上を維持
供給が大幅に増加したにもかかわらず、吸収率(販売率)は70%以上を維持している。
これは、ベトナムの不動産市場に対する需要が依然として強いことを示している。
特に、ハノイとホーチミン市の2大都市圏では、経済成長と人口増加により、住宅需要が高い水準を維持している。
しかし、吸収率が100%を下回っていることは、供給が需要を上回り始めていることを意味する。
金利上昇が購入者の慎重姿勢を招く
在庫増加のもう一つの要因は、住宅ローン金利の上昇だ。
ベトナム国家銀行(中央銀行)は、インフレ抑制のため、金利を引き上げる方針を示している。
住宅ローン金利の上昇は、購入者の返済負担を増加させ、購入意欲を抑制する。
特に、中所得層の購入者にとっては、金利上昇が大きな負担となり、購入を見送るケースが増えている。
不良債権売却が頻発
金利上昇により、不動産市場には大きな圧力がかかっている。
ベトナム不動産ブローカー協会(VARS)の報告によると、特にアパート市場で不良債権売却が頻発している。
購入者が住宅ローンの返済に困難を抱え、物件を手放すケースが増えているのだ。
この不良債権売却の増加は、市場の健全性に対する懸念を高めている。
投機的需要の抑制が進む
ベトナム政府は、不動産市場の過熱を抑制するため、投機的需要の抑制に力を入れている。
2026年の運用ガイドラインでは、信用規制に加え、保有コストや取引コストの引き上げが検討されている。
これらの規制は、短期的な転売を目的とした投機的な購入を抑制し、実需に基づいた市場の形成を目指すものだ。
また、政府は、不動産への信用流入を制限する措置も検討している。
社会住宅の供給拡大が急務
ベトナムの不動産市場が直面しているもう一つの課題は、中低所得層向けの住宅不足だ。
現在の市場では、中高級セグメントのアパートが中心で、中低所得層が購入できる手頃な価格の住宅が不足している。
政府は、この問題に対処するため、社会住宅の供給拡大を進めている。
ファム・ミン・チン首相は、住宅供給拡大のための政策行動を加速するよう促しており、2030年までに100万戸の社会住宅を建設する目標を掲げている。
地方都市での不動産開発に注目
ハノイとホーチミン市の2大都市圏での価格高騰を受けて、地方都市での不動産開発に注目が集まっている。
ダナン、ハイフォン、ビンズン省、ドンナイ省などの地方都市では、都心より安価な地価を背景に、不動産市場の急速な拡大が期待されている。
これらの地方都市は、製造業やサービス業の発展により、雇用機会が増加しており、人口流入が進んでいる。
地方都市での不動産開発は、2大都市圏の価格高騰を緩和する効果も期待される。
透明性向上と法的枠組みの整備
ベトナムの不動産市場が持続的に成長するためには、透明性の向上と法的枠組みの整備が不可欠だ。
2025年には、不動産に関する新しい法的枠組みが導入され、市場の透明性が向上した。
これにより、投資家や購入者は、より安心して不動産取引を行えるようになった。
また、政府は、不動産開発における行政手続きの簡素化にも取り組んでおり、プロジェクトの遅延リスクを軽減する努力を続けている。
今後の市場見通し
ベトナムの不動産市場は、2026年に新たな成長サイクルに入ると予想されている。
在庫の増加は、短期的には価格調整圧力となる可能性があるが、長期的には市場の健全化につながるだろう。
また、金利動向や政府の規制動向が、今後の市場の方向性を大きく左右する。
投資家や購入者は、これらの動向を注視しながら、慎重に投資判断を行う必要がある。
バランスの取れた市場形成が鍵
ベトナムの不動産市場が直面している最大の課題は、価格高騰と供給のバランスをどのように取るかだ。
供給が不足すれば価格が高騰し、中低所得層が住宅を購入できなくなる。
一方、供給が過剰になれば、在庫が増加し、デベロッパーの経営を圧迫する。
政府、デベロッパー、投資家、購入者が協力して、バランスの取れた持続可能な不動産市場を構築していくことが求められている。
ベトナムの不動産市場は、今まさに重要な転換点を迎えている。



