ベトナムの工業用不動産市場、2026-2030年に年平均15%成長の見通し
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ニュース 2026年2月11日 3分で読めます

ベトナムの工業用不動産市場、2026-2030年に年平均15%成長の見通し

"ベトナムの工業用不動産市場は、2026-2030年に年平均15%の成長が見込まれ、特に北部と南部の工業団地への需要が高まっています。"

ベトナムの工業用不動産市場、2026-2030年の成長予測:新たな投資の波とサプライチェーンの進化

2026年2月12日

概要

ベトナムの工業用不動産市場は、2026年から2030年にかけて力強い成長を遂げると予測されています。世界的なサプライチェーンの再編、安定した経済成長、そして政府の積極的な投資誘致策が、この成長を牽引する主要な要因です。本記事では、ベトナムの工業用不動産市場の最新動向と将来展望を、データと専門家の分析を交えて解説します。

市場の現状と成長要因

主要データ

| 指標 | 2025年Q4 | 2026年Q1(予測) |
| :--- | :--- | :--- |
| 平均賃料(北部) | $135/m²/リース期間 | +2% |
| 平均賃料(南部) | $189/m²/リース期間 | +3% |
| 稼働率(北部) | 83% | 85% |
| 稼働率(南部) | 92% | 93% |

出典: CIS Vietnam [1]

2025年第4四半期において、ベトナムの工業団地の平均稼働率は全国で80%を超え、特に南部では92%という高い水準を記録しました。この高い稼働率は、国内外の製造業からの旺盛な需要を反映しています。

成長を牽引する3つの要因

  1. グローバルサプライチェーンの再編: 「チャイナ・プラスワン」戦略の進展に伴い、多くの多国籍企業が生産拠点を中国からベトナムへと移管しています。これにより、特に電子機器、自動車、繊維、家具などの分野で工業用不動産の需要が急増しています。
  2. 安定した経済成長とFDI: ベトナムは安定したGDP成長を維持しており、外国直接投資(FDI)も順調に増加しています。2026年1月には、FDI認可額が5年ぶりの高水準を記録し、製造業への投資が全体の約70%を占めました [2]。
  3. 政府のインフラ投資: ベトナム政府は、高速道路網、深海港、空港などのインフラ整備に多額の投資を行っています。これにより、物流効率が向上し、工業団地の魅力が一層高まっています。

2026-2030年の市場予測

新たな供給

2026年末までに、全国で約12万ヘクタールの工業用地が新たに供給される予定です。これにより、特にハイフォン、バクニン、ビンズオン、ドンナイなどの主要工業地帯で、大規模なリース取引が可能になります。

賃料の動向

専門家は、今後5年間で工業用地の賃料が年平均**5〜9%**上昇すると予測しています。特に、物流ハブに近い戦略的な立地の工業団地では、賃料の上昇率がさらに高くなる可能性があります。

新たなトレンド:既製工場(RBF)と倉庫

近年、初期投資を抑えたい中小企業向けに、既製工場(Ready-Built Factory, RBF)や倉庫の需要が高まっています。これらの施設は、柔軟なリース期間と迅速な操業開始が可能であるため、特に新規参入企業にとって魅力的です。

「ベトナムの工業用不動産市場は、単なる土地のリースから、より付加価値の高い既製工場や倉庫へと需要がシフトしています。これは、市場の成熟と投資家の多様化を反映しています。」

CBRE Vietnam, Head of Research & Consulting, Ms. Duong Thuy Dung

主要な工業クラスター

北部:ハイテク産業の中心地

  • 主要地域: ハノイ、ハイフォン、バクニン、クアンニン
  • 特徴: Samsung、LG、Foxconnなどの大手電子機器メーカーが集積。中国との国境に近く、サプライチェーンの連携が容易。

南部:製造業と物流のハブ

  • 主要地域: ホーチミン市、ビンズオン、ドンナイ、ロンアン
  • 特徴: 繊維、家具、消費財などの労働集約型産業が中心。カイメップ・チーバイ港などの主要港へのアクセスが良好。

投資家への示唆

ベトナムの工業用不動産市場は、今後も安定した成長が見込まれる魅力的な投資先です。しかし、競争の激化や法規制の変更などのリスクも存在します。

投資家は、以下の点に留意する必要があります:

  • 立地の選定: 物流インフラへのアクセス、労働力の確保、地方政府のインセンティブなどを総合的に評価する。
  • 持続可能性: 環境基準や社会貢献への要求が高まっており、グリーン認証を取得した工業団地が注目されている。
  • 法務・税務: ベトナムの複雑な法規制や税務制度を十分に理解し、専門家のアドバイスを活用する。

結論

ベトナムの工業用不動産市場は、世界経済の構造変化と国内の力強い成長を背景に、新たな発展段階に入っています。今後5年間、市場は拡大を続け、投資家にとって多くの機会を提供するでしょう。しかし、その機会を最大限に活用するためには、市場動向を注意深く分析し、戦略的な意思決定を行うことが不可欠です。


参考文献

[1] CIS Vietnam. (2026, February). Forecast for Vietnam Industrial Real Estate 2026-2030. Retrieved from https://cisgroup.vn/forecast-for-vietnam-industrial-real-estate-2026-2030/
[2] VnExpress. (2026, February 11). Foreign investment disbursement in January hits five-year high. Retrieved from https://e.vnexpress.net/news/business/economy/foreign-investment-disbursement-in-january-hits-five-year-high-5015312.html

出典: CIS Group Vietnam

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