"ベトナム国会は2026年のGDP成長率目標を10%以上に設定した。これは過去10年で最も野心的な目標であり、インフラ投資の加速、外国直接投資の誘致、輸出の拡大が成長の鍵となる。"
title: "ベトナム、2026年GDP成長率目標を10%以上に設定—野心的な経済成長計画の全貌"
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category: "ニュース"
subcategory: "経済ニュース"
publishDate: "2026-02-23"
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summary: "ベトナム国会は2026年のGDP成長率目標を10%以上に設定し、一人当たりGDPを5,400〜5,500ドルに引き上げる野心的な経済計画を承認した。インフラ投資の加速と税収漏れ対策が鍵となる。"
source: "VnExpress, JETRO, The Investor"
ベトナム国会は2025年11月13日、2026年の経済社会発展に関する決議を可決し、GDP成長率目標を10%以上に設定した。この目標は、2025年の8%超の成長実績を大きく上回る野心的なものであり、ベトナムが2045年までに高所得国入りを目指す長期戦略の重要な一歩となる。
国会が承認した10%成長目標
国会議員の90.5%以上が賛成票を投じて可決された決議によると、2026年の主要な経済目標は以下の通りである。
- GDP成長率: 10%以上
- 一人当たりGDP: 5,400〜5,500ドル
- インフレ率: 約4.5%に抑制
2025年の経済成長率は8%超、一人当たりGDPは約5,000ドルと見込まれており、2026年の目標はこれを大きく上回る設定となっている。ベトナム政府は、マクロ経済の安定維持とインフレ抑制を優先しながら、金融政策と財政政策を柔軟かつ合理的に拡大する方針を示している。
インフラ投資の加速が成長の鍵
ベトナム政府は、10%以上の成長目標を達成するため、インフラ投資の加速を重視している。国会決議では、以下のプロジェクトの推進が明記されている。
鉄道インフラ:
- ラオカイ-ハノイ-ハイフォン鉄道の建設加速
- ハノイとホーチミン市の都市鉄道プロジェクトの推進
空港インフラ:
- ロンタイン国際空港の第2期工事の研究・実施
- ザービン空港の建設スケジュール確保
港湾インフラ:
- カンザー国際中継港の早期建設
- ホンコアイ港の建設推進
エネルギーインフラ:
- ニントゥアン原子力発電所1号機・2号機のスケジュール確保
- 重要なエネルギープロジェクトを誘致・実施するための特別メカニズムの構築
これらのインフラプロジェクトは、ベトナムの長期的な経済成長を支える基盤となる。特に、ロンタイン国際空港は、ホーチミン市の航空需要に対応し、東南アジアの航空ハブとしての地位を強化する重要なプロジェクトである。
税収漏れ対策の強化
国会決議では、金市場、不動産市場、株式市場の効果的な管理に加え、税収漏れ対策の強化が明記されている。特に、以下の分野での税収漏れが課題となっている。
- 電子商取引(eコマース): オンライン販売の急成長に伴い、税務申告が不十分な事業者が増加している
- 飲食サービス: レストランやカフェなどの現金取引が多い業種での税収漏れ
- 小売業: 個人事業主や小規模店舗での税務コンプライアンスの低さ
政府は、これらの分野での税収漏れを防ぐため、デジタル決済の普及促進や税務監査の強化を進める方針である。
15の主要経済社会指標
国会決議では、GDP成長率以外にも、以下の15の主要経済社会指標が設定されている。
- GDP成長率: 10%以上
- 一人当たりGDP: 5,400〜5,500ドル
- 製造業のGDP比率: 24.96%
- CPI上昇率: 4.5%
- 社会的労働生産性の伸び率: 8.5%
- 農業労働者の割合: 25.3%
- 資格・証明書を持つ労働者の割合: 29.5%
- 都市部失業率: 1〜1.5ポイント減少
- 貧困世帯率: 0.8〜1%減少
- 1万人あたりの医師数: 15.3人
- 1万人あたりの病床数: 34.7床
- 医療保険加入率: 95.5%
- 新農村基準達成村の割合: 最低15%
- 都市部生活固形廃棄物の収集・処理率: 95%
- 排水処理システムを備えた工業団地・輸出加工区の割合: 95%
これらの指標は、経済成長だけでなく、社会的な包摂性や環境保護も重視する姿勢を示している。
専門家の見解と課題
世界銀行は、2026年のベトナムGDP成長率を6.3%と予測しており、これは東アジア太平洋地域で最高の成長率となる。一方、KPMGは2026年の経済規模を4,760億ドル、GDP成長率目標を8%と見積もっている。
10%以上という成長目標は野心的であり、達成には以下の課題への対応が必要となる。
- 米中貿易摩擦の影響: 世界経済の不確実性がベトナムの輸出に影響を与える可能性
- インフラ投資の遅延リスク: 大規模プロジェクトの実施には時間と資金が必要
- 人材不足: 製造業やIT業界での高度人材の不足
- 税収漏れ: eコマース、飲食、小売分野での税務コンプライアンスの向上
2045年の高所得国入りに向けた一歩
ベトナムは、2021〜2025年の5カ年計画で年平均6.5〜7%の成長を目標としていたが、コロナ禍の影響で実績は平均6.25%にとどまった。2026〜2030年の新たな5カ年計画では、年平均10%以上の成長を目指し、2045年までに高所得国入りを実現する長期戦略を掲げている。
2026年の10%以上という成長目標は、この長期戦略の重要な一歩となる。インフラ投資の加速、税収漏れ対策の強化、マクロ経済の安定維持を通じて、ベトナムは持続可能な高成長を目指している。



