"ベトナム財務省は2026年2月4日、外国人投資家の株式取引を大幅に簡素化する通達08号を公布しました。最大の変更点は、これまで取引の障壁とされてきた「プレファンディング要件」の撤廃です。これにより、FTSEラッセルの「新興国市場」への格上げが現実味を帯び、数十億ドル規模の海外資金流入が期待されています。"
プレファンディング要件撤廃で国際標準へ
ベトナム財務省は2026年2月4日、外国人投資家による株式取引の参入障壁を大幅に引き下げる画期的な通達「Circular 08/2026/TT-BTC」を公布しました。この改革の核心は、長年、外国人投資家を悩ませてきたプレファンディング要件(取引前の100%資金準備義務)の撤廃です。 [1]
これまで、外国人投資家はベトナム株を購入する際、注文前に取引価値の全額を証券口座に預託する必要がありました。これは多くのグローバルな証券市場で採用されている「ポストトレード決済(T+2決済)」とは異なる慣行であり、特に大規模なポートフォリオを運用する海外の機関投資家にとって、非効率で運用上の制約となっていました。
今回の通達により、適格な機関投資家は、決済期間内に義務を履行することを条件に、資金の事前送金なしで買い注文を出せるようになります。これにより、ベトナムの取引構造が国際標準に近づき、グローバルな投資ファンドがベトナム株を自社の取引システムに統合しやすくなります。
主な規制変更のポイント
| 規制変更点 | 従来の慣行 | 新ルール(通達08号) | 投資家への影響 |
|---|---|---|---|
| 取引プレファンディング | 買い注文前に100%の資金預託が必要 | 適格機関投資家は事後決済が可能に | 国際的な決済慣行との整合性が向上 |
| ブローカーアクセス | ベトナム国内の証券会社との直接契約が必要 | 国際的なブローカー経由での取引が可能に | 市場参入への事務的負担が軽減 |
| 決済手続き | グローバルな取引システムとの非互換性 | 決済・取引手続きの更新 | グローバルなポートフォリオへの組み込みが容易に |
出典: ASEAN Briefing [1]
FTSE新興国市場への格上げに期待
この規制緩和は、ベトナムがFTSEラッセルのグローバル株式インデックスにおいて「フロンティア市場」から「セカンダリー新興国市場」への格上げを目指す上で、極めて重要な一歩です。ベトナムは2018年以来、FTSEのウォッチリストに掲載されていますが、このプレファンディング要件が格上げの最後の障壁の一つと見なされていました。
アナリストは、新興国市場への格上げが実現すれば、ベンチマークに連動する世界のファンドから30億〜50億米ドルの海外ポートフォリオ資金が流入する可能性があると試算しています。 [1] ベトナムの株式市場の時価総額は現在3,500億米ドルを超え、GDPの約70〜75%に相当する規模にまで成長しており、東南アジアでも有数の資本市場となっています。
残る課題:外資保有率上限
今回の改革は取引の「手続き」面に焦点を当てたものであり、外資による「所有」そのものに関する規制(外資保有率上限)が変更されたわけではありません。銀行など一部の規制業種では、外資保有率が30%〜49%に制限されており、この上限に達した銘柄は、企業側が所有構造を変更しない限り、外国人投資家が追加取得することはできません。
しかし、今回の規制緩和が、長年の課題であった市場の流動性とアクセシビリティを劇的に改善し、ベトナム株式市場の新たな成長段階への扉を開くものであることは間違いありません。次回のFTSEによる主要レビューは2026年9月に予定されており、市場関係者の期待は高まっています。
参照資料:
[1] ASEAN Briefing. (2026, March 10). Vietnam Eases Foreign Access to Equities Under New 2026 Rules. https://www.aseanbriefing.com/news/vietnam-eases-foreign-access-to-equities-what-the-new-rules-mean-for-global-investors/



