"ベトナムのドローン産業が急成長。農業や物流など多分野での活用が進み、新たなビジネスチャンスが生まれています。"
低空経済アライアンスの設立
ベトナムのドローン産業が急速な成長を遂げています。2025年10月に設立された「Vietnam Low-Altitude Economy Alliance(LAEP)」は、FPT CEOのNguyen Van Khoa氏とVinaCapital CEOのDon Lam氏が共同で立ち上げた産業アライアンスです。このアライアンスは、ドローンを活用した低空経済の発展を推進し、数千億ドル規模の市場創出を目指しています。設立時には、テクノロジー、物流、農業、不動産など多様な業界から50社以上が参加を表明しました。
農業分野での活用
ベトナムの農業セクターでは、ドローンの活用が急速に広がっています。農薬散布、種まき、作物モニタリングなどの作業において、ドローンの導入により効率が大幅に向上しています。メコンデルタの稲作地帯では、ドローンによる農薬散布が従来の手作業と比較して作業時間を90%以上削減し、農薬使用量も30%削減できると報告されています。DJIやXAGなどの中国製農業用ドローンが市場を席巻していますが、国産ドローンの開発も進められています。
物流・配送への展開
ドローン物流は、ベトナムの次なる成長分野として注目されています。都市部での即日配送や、離島・山間部への医薬品配送など、従来の物流インフラでは対応が困難だった地域へのサービス提供が可能になります。越境低空回廊の構想も検討されており、ASEAN域内でのドローン物流ネットワークの構築が長期的なビジョンとして掲げられています。ホーチミン市では、フードデリバリーのドローン配送実証実験が2026年後半に予定されています。
都市エアモビリティの可能性
都市エアモビリティ(UAM)は、ベトナムの大都市における交通渋滞の解決策として期待されています。ホーチミン市やハノイでは慢性的な交通渋滞が深刻な問題となっており、エアタクシーやドローンシャトルなどの新しい移動手段が検討されています。ホーチミン市は、タンソンニャット空港と市内中心部を結ぶエアタクシーサービスの実現可能性調査を開始しており、2030年までの商用化を目指しています。
FPT Retailの参入と産業エコシステム
IT大手FPTグループの小売部門であるFPT Retailも低空経済への参入を表明しています。ドローンを活用した商品配送サービスの実証実験を計画しており、テクノロジー企業ならではのアプローチで物流の効率化を図る方針です。FPTはAI技術を活用した自律飛行システムの開発にも取り組んでおり、ドローンの安全性と効率性の向上を目指しています。
規制環境と今後の展望
ベトナム政府はドローン産業の成長を支援する一方で、安全性と航空管制に関する規制の整備も進めています。低空域の管理体制の構築、ドローンの登録制度、操縦者のライセンス制度などが段階的に導入される予定です。ベトナムのドローン産業は、農業の効率化から始まり、物流、インフラ点検、災害対応、そして都市交通まで、幅広い分野での応用が期待されています。ASEAN地域における低空経済のリーダーとしての地位を確立できるかが、今後の注目点となるでしょう。
日系企業の参入機会
ベトナムのドローン産業は、日系企業にとっても大きなビジネスチャンスを提供しています。特に、精密農業向けのセンシング技術、産業用ドローンの部品製造、ドローン管制システムの開発など、日本企業が強みを持つ分野での参入機会が拡大しています。NEDOは2025年からベトナムでのドローン物流実証事業を支援しており、日越間の技術協力が進んでいます。また、ドローンパイロットの育成プログラムにおいても、日本の安全管理ノウハウが求められており、教育分野での協力も期待されています。ベトナム政府は2030年までに低空経済の市場規模を100億ドルに拡大する目標を掲げています。



