"ベトナムにおけるビジネス展開で不可欠な競争法(独占禁止法)の基礎と、企業が遵守すべきコンプライアンスのポイントを解説します。国家競争委員会(VCC)の役割や、カルテル、市場支配的地位の濫用、経済集中(M&A)規制への対応策をまとめました。"
ベトナム競争法の概要と重要性
ベトナムでビジネスを展開する外資系企業にとって、競争法(日本の独占禁止法に相当)の理解と遵守は、法的リスクを回避し、持続可能な事業運営を行う上で極めて重要です。2018年に全面改正された新競争法は、市場の公正な競争環境を保護するため、より厳格な規制と執行メカニズムを導入しています。
国家競争委員会(VCC)の役割
競争法の執行を担う中核機関が「国家競争委員会(VCC: Vietnam Competition Commission)」です。VCCは、競争制限行為の調査・処罰、経済集中(M&Aなど)の審査、不公正な競争行為の監視など、強力な権限を持っています。

主要な規制対象
ベトナム競争法は、主に以下の3つの行為を規制しています。
- 競争制限的合意(カルテル): 価格カルテル、市場分割、生産制限など、競合他社間で競争を制限する合意。
- 市場支配的地位・独占的地位の濫用: 不当な価格設定、取引拒絶、抱き合わせ販売など、市場における優越的な地位を利用して競争を阻害する行為。
- 経済集中(M&A規制): 合併、買収、合弁会社の設立などにより、市場の競争が著しく制限されるおそれのある行為。一定の基準を満たすM&Aは、事前にVCCへの届出が必要です。

コンプライアンス対応のポイント
企業は、競争法違反による巨額の罰金やレピュテーションリスクを防ぐため、以下のコンプライアンス体制を構築する必要があります。
- 社内規定の策定と周知: 競争法遵守に関する明確な社内ガイドラインを策定し、従業員への教育・研修を定期的に実施する。
- 競合他社との接触ルールの明確化: 業界団体や展示会など、競合他社と接触する機会における情報交換のルールを厳格に定める。
- M&A時の事前審査: M&Aを検討する際は、早期に競争法上の届出要否を評価し、必要な手続きを適切に行う。
考察:厳格化する執行への備え
ベトナムの経済発展に伴い、VCCによる競争法の執行は年々厳格化しています。特に外資系企業や大規模なM&A案件に対する監視の目は厳しく、企業は「知らなかった」では済まされない状況です。現地の法律専門家と連携し、最新の法改正や執行動向を常に把握しておくことが不可欠です。



