ベトナム、2028年に炭素取引所を正式開設へ――カーボンクレジット市場の全貌
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ニュース 2026年3月29日 3分で読めます

ベトナム、2028年に炭素取引所を正式開設へ――カーボンクレジット市場の全貌

"ベトナム政府は、2028年を目標に国内炭素取引所を正式開設する計画を進めている。2025年から試験運用が始まる炭素クレジット市場は、林業・農業・エネルギー分野での温室効果ガス削減を促進し、国際的なカーボンクレジット取引にも接続される見通しだ。"

アジアで加速する炭素市場、ベトナムも本格参入へ

2026年3月、ベトナム政府は国内炭素取引所の設立に向けた具体的なロードマップを公表した。2025年から試験的な取引を開始し、2028年に正式な取引所として開設する計画だ。

これは、ベトナムが2050年カーボンニュートラルを達成するための重要な政策ツールとなる。

炭素市場の仕組み

炭素取引市場では、温室効果ガスの排出量に上限(キャップ)を設け、その枠内で排出権を売買する「キャップ・アンド・トレード」方式が採用される。

排出量が多い企業は、削減努力をした企業から排出権を購入する必要があり、これが削減のインセンティブとなる。

炭素市場ポテンシャルチャート

出典: ベトナム天然資源環境省データをもとに作成

ベトナムの炭素クレジット創出ポテンシャル

ベトナムは、炭素クレジットの創出において大きなポテンシャルを持つ。特に注目されるのが以下の分野だ。

林業(REDD+): ベトナムは国土の約42%が森林に覆われており、森林保全・再生による炭素クレジットの創出余地が大きい。

農業: 水田からのメタン排出削減、有機農業への転換などによるクレジット創出が期待される。

再生可能エネルギー: 太陽光・風力発電の拡大により、化石燃料代替によるクレジットが生まれる。

国際市場との接続

ベトナムは、パリ協定に基づく「二国間クレジット制度(JCM)」において、日本との間で最も活発な取引実績を持つ。

2028年の炭素取引所開設後は、国内市場と国際市場が接続され、日本企業がベトナムでの削減プロジェクトから得たクレジットを日本の排出量削減に活用しやすくなる見通しだ。

分野 年間クレジット創出ポテンシャル 主な方法
林業(REDD+) 約5,000万トン 森林保全・再生
農業 約3,000万トン 水田管理・有機農業
エネルギー 約4,500万トン 再エネ導入・省エネ
製造業 約2,000万トン 工程改善・燃料転換

[参考文献]

[1] Vietnam Ministry of Natural Resources and Environment. "Carbon Market Development Roadmap." March 2026.
[2] JICA. "Japan-Vietnam Joint Crediting Mechanism Report." 2025.

出典: Vietnam Investment Review

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