"かつて世界トップクラスのビール消費国だったベトナムで、消費量の低迷が続いている。特に、2020年に導入された世界で最も厳しい飲酒運転罰則「政令100号」が市場に大きな打撃を与え、消費者の行動変容を促している。"
ビール大国ベトナムに異変、消費量が伸び悩み
かつては東南アジア最大のビール市場であり、世界でもトップクラスの消費量を誇っていたベトナムで、近年ビール消費量の低迷が続いています。市場調査会社によると、2025年のビール消費量は前年比で減少し、2026年に入っても回復の兆しは見えていません。
この消費低迷の最大の要因とされているのが、2020年1月に施行された飲酒運転に対する厳しい罰則を定めた「政令100号」です。
「世界一厳しい」飲酒運転罰則の影響
政令100号は、血中アルコール濃度がわずかでも検出されただけで高額な罰金と免許停止処分が科される、世界で最も厳しいレベルの法律です。この法律の施行により、仕事帰りに同僚と一杯、といったベトナムの伝統的な飲酒文化が大きく変化しました。
「以前は毎日のように同僚とビアホイ(大衆的なビアホール)に行っていましたが、今は捕まるのが怖いので、ほとんど行かなくなりました」と、ハノイ市在住の会社員は語ります。
政令100号がもたらした変化:
- 外食時の飲酒減少: レストランやビアホールでのビール消費が大幅に減少。
- 宅飲み需要の増加: スーパーやコンビニでビールを購入し、自宅で楽しむスタイルが増加。
- ノンアルコール飲料への関心増: ノンアルコールビールやソフトドリンク市場が拡大。
ビールメーカーの戦略転換
この市場の変化を受け、ハイネケンやサベコといった大手ビールメーカーは戦略の転換を迫られています。各社はノンアルコールビールのラインナップを強化したり、宅飲み需要をターゲットにしたキャンペーンを展開したりするなど、新たな市場開拓を模索しています。
飲酒運転の厳罰化は、公衆衛生の観点からは大きな成果を上げていますが、ベトナムの巨大なビール市場とその関連産業に構造的な変化をもたらしていることは間違いありません。
出典:
[1] 現地メディア各社の報道を総合的に分析。



