"ベトナムのオンラインフードデリバリー市場は2025年に21億ドル(GMV)を記録し、前年比19%の成長を達成した。この急成長の背景には、ShopeeFood と GrabFood という2大プラットフォームによる激しい市場競争がある。両社はそれぞれ48%のシェアを占め、市場をほぼ二分している状況だ。 ベトナムのフードデリバリー市場は、ここ数年で大きな変化を遂げてきた。2023年には6つのプラット..."
ベトナムのオンラインフードデリバリー市場は2025年に21億ドル(GMV)を記録し、前年比19%の成長を達成した。この急成長の背景には、ShopeeFood と GrabFood という2大プラットフォームによる激しい市場競争がある。両社はそれぞれ48%のシェアを占め、市場をほぼ二分している状況だ。
ベトナムのフードデリバリー市場は、ここ数年で大きな変化を遂げてきた。2023年には6つのプラットフォームが存在していたが、2024年から2025年にかけて市場の淘汰が進んだ。韓国発の Baemin は2023年12月に撤退し、インドネシアの GoFood は2024年9月に市場から姿を消した。さらに、ベトナム国内企業の Loship も2024年に撤退を余儀なくされた。これらの撤退により、市場は ShopeeFood と GrabFood の2強体制へと集約されつつある。
現在、残存するプレイヤーは4社となっている。ShopeeFood と GrabFood がそれぞれ48%のシェアを握り、beFood が4%、2025年6月に参入した Xanh SM Ngon がわずかなシェアを持つにとどまっている。この寡占化は、規模の経済が重要な役割を果たすフードデリバリー業界の特性を反映している。配達ネットワークの構築、レストランとの提携拡大、そして顧客獲得コストの管理において、大規模プラットフォームが圧倒的に有利な立場にあるためだ。
市場の将来展望については、Google、Temasek、Bain & Company の共同調査が興味深い予測を示している。同調査によれば、ベトナムのフードデリバリー市場(ライドシェアと合算)は2025年に50億ドル、2030年には90億ドルに達する見込みだ。これは年平均成長率(CAGR)で約12%の成長を意味する。ただし、この予測にはライドシェアサービスも含まれているため、純粋なフードデリバリーの成長率はやや控えめになる可能性がある。
東南アジア全体の文脈で見ると、ベトナムは6カ国中最小の市場である。東南アジア全体のフードデリバリー市場は227億ドルに達しており、その中でタイが51億ドルで最大市場となっている。タイ市場は前年比22%という最速の成長率を記録しており、ベトナムの19%を上回っている。この比較から、ベトナム市場にはまだ大きな成長余地があることがうかがえる。
今後の市場動向を左右する要因としては、都市化の進展、中間層の拡大、スマートフォン普及率の上昇、そして若年層の消費行動の変化が挙げられる。特にホーチミン市とハノイという2大都市圏では、忙しいライフスタイルを送る若年層や中間層が主要な顧客層となっている。また、COVID-19パンデミックを経て定着したオンライン注文の習慣も、市場成長を後押ししている。
ShopeeFood と GrabFood の競争は、単なる市場シェア争いにとどまらない。両社は配達時間の短縮、手数料の引き下げ、プロモーションの強化、そして新機能の開発において激しく競い合っている。この競争は消費者にとっては恩恵となる一方で、レストラン側にとっては手数料負担の増加という課題をもたらしている。今後、この市場がどのように進化していくのか、そして新たなプレイヤーの参入があるのか、注目が集まっている。



