"ホーチミン市のオフィス賃料は2026年第1四半期に2〜4%上昇した。企業の拡張需要の回復と新規供給の限定が賃料上昇の要因である。1区のグレードAオフィスは最も高い賃料を記録している。"
title: "ホーチミン市、オフィス賃料が2026年第1四半期に2〜4%上昇—質重視の市場再編が進行"
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category: "ニュース"
subcategory: "不動産ニュース"
publishDate: "2026-02-23"
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summary: "ホーチミン市のオフィス市場は2026年第1四半期に賃料が2〜4%上昇する見込み。テナントは賃料よりも品質・ESG・従業員体験を重視する「質への逃避」傾向が顕著になっている。"
source: "SEE THE SPACE, Cushman & Wakefield"
ホーチミン市のオフィス市場は、2023〜2024年の調整期を経て、2026年第1四半期に安定的かつ選択的なサイクルに入った。賃料は前年比2〜4%の緩やかな上昇が見込まれるが、テナントの関心は賃料よりも品質、従業員体験、ESG(環境・社会・ガバナンス)基準に移行している。不動産アドバイザリー企業SEE THE SPACEが発表した市場レポートによると、「質への逃避(Flight-to-Quality)」が引き続き市場の主要テーマとなっている。
賃料動向: 緩やかな上昇と柔軟な交渉
2026年第1四半期のホーチミン市オフィス賃料は、前年比2〜4%の上昇が予測されている。しかし、賃料の上昇以上に注目すべきは、家主側の柔軟な姿勢である。
賃料の現状(2026年第1四半期):
| エリア | グレード | 賃料(USD/㎡/月、グロス) |
|---|---|---|
| 1区(CBD) | グレードA | 50〜65 |
| 3区 | グレードA/B+ | 36〜42 |
| トゥーティエム | グレードA | 40〜45 |
| ビンタイン区 | グレードA/B+ | 28〜32 |
| 7区 | グレードB+/B | 25〜32 |
| フーニュアン区 | グレードB+/B | 24〜28 |
| タンビン区 | グレードA/B+ | 22〜28 |
Cushman & Wakefieldの調査によると、2025年第1四半期の平均賃料は、CBD(中心業務地区)で49.6 USD/㎡/月、非CBD地区で26.0 USD/㎡/月であった。2026年第1四半期の賃料は、CBDで50〜65 USD/㎡/月、非CBD地区で22〜42 USD/㎡/月と、緩やかな上昇傾向にある。
家主の柔軟な姿勢:
- レントフリー期間の提供: 入居初期の賃料免除期間を延長
- 内装工事費の負担: テナントの内装工事費用を家主が一部負担
- 柔軟な契約条件: 契約期間や更新条件の柔軟化
これらのインセンティブにより、実質的な賃料(Net Effective Rent)は、表面的な賃料よりも低くなる傾向がある。テナントは、表面的な賃料だけでなく、実質的な賃料を重視するようになっている。
「質への逃避」が市場の主要テーマ
2026年第1四半期のホーチミン市オフィス市場では、「質への逃避(Flight-to-Quality)」が引き続き主要テーマとなっている。テナントは、賃料よりも以下の要素を重視している。
1. オフィスの品質:
- グレードAおよび高品質なグレードB/B+ビルへの需要増加
- 最新の設備とテクノロジー: スマートビル、高速インターネット、セキュリティシステム
- 快適な作業環境: 自然光、換気、共用スペース
2. 従業員体験:
- 通勤の利便性: 公共交通機関へのアクセス、駐車場の充実
- 周辺環境: レストラン、カフェ、ジムなどのアメニティ
- ウェルネス: 屋上庭園、リラクゼーションスペース
3. ESG(環境・社会・ガバナンス)基準:
- 環境認証: LEED、GreenMarkなどの環境認証取得ビル
- エネルギー効率: 省エネルギー設備、再生可能エネルギーの利用
- 社会的責任: 地域社会への貢献、従業員の健康と安全
4. ブランドイメージ:
- 一等地のオフィス: 企業のブランドイメージを向上させる
- 高品質なビル: 顧客や取引先に対する信頼性の向上
非CBD地区の競争力向上
SEE THE SPACEのレポートによると、非CBD地区のオフィスビルは、CBDに近い品質と管理水準を提供しながら、より強い交渉力を持つようになっている。
非CBD地区の優位性:
- コスト効率: CBDよりも賃料が20〜40%低い
- 品質の向上: 新築ビルが増加し、CBDに匹敵する品質を提供
- 交渉の余地: 家主がより柔軟な条件を提示
注目エリア:
- トゥーティエム: 新興ビジネス地区として急成長中
- ビンタイン区: CBDに近く、賃料が比較的低い
- 7区: 外資系企業が多く、国際的な環境
- タンビン区: 空港に近く、交通の便が良い
テナントの戦略的な意思決定
2026年第1四半期のホーチミン市オフィス市場では、テナントの意思決定がより戦略的になっている。短期的なコスト削減よりも、長期的なビジネスの持続性、従業員の満足度、サプライチェーンの最適化を重視する傾向が強まっている。
テナントの優先事項:
- 実質的な賃料(Net Effective Rent): 表面的な賃料よりも、レントフリー期間や内装工事費負担を含めた実質的な賃料を重視
- オフィスの品質: グレードAおよび高品質なグレードB/B+ビルへの需要増加
- 従業員体験: 通勤の利便性、周辺環境、ウェルネス
- ESG基準: 環境認証、エネルギー効率、社会的責任
- ブランドイメージ: 一等地のオフィス、高品質なビル
2026年のリーシング戦略
SEE THE SPACEは、2026年第1四半期が有利な交渉の機会であると指摘している。新規供給の増加と家主の柔軟な姿勢により、テナントはより良い条件を引き出すことができる。
推奨されるリーシング戦略:
- CBD外のグレードAビルを優先: コスト効率と職場の品質のバランスを取る
- 実質的な賃料を比較: レントフリー期間や内装工事費負担を含めた総コストを評価
- 長期的な視点: 短期的なコスト削減よりも、従業員の満足度とビジネスの持続性を重視
- ESG基準を考慮: 環境認証取得ビルを選択し、企業の社会的責任を果たす
市場の見通し
ホーチミン市のオフィス市場は、2026年第1四半期に安定的かつ選択的なサイクルに入った。賃料は緩やかに上昇するが、家主の柔軟な姿勢により、テナントは有利な条件を引き出すことができる。
2026年の市場予測:
- 賃料: 前年比2〜4%の緩やかな上昇
- 新規供給: 2025年に約38,000㎡、2028年までに約80,000㎡の新規供給が予定されている(Cushman & Wakefield)
- 空室率: 安定的に推移する見込み
- テナントの需要: グレードAおよび高品質なグレードB/B+ビルへの需要が継続
ホーチミン市のオフィス市場は、賃料よりも品質、従業員体験、ESG基準を重視する「質への逃避」傾向が引き続き主要テーマとなる。テナントは、短期的なコスト削減よりも、長期的なビジネスの持続性を重視する戦略的な意思決定を行うことが求められる。



